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「今日は煎餅とビールにしようか」
「ああ。いいねえ」
そんな会話をしているときだった。
「ヒラメが取れたから取りにおいで」と電話が入った。
海の幸を分けてくれる2軒のうちの一軒からだった。
「はい」いわゆる二つ返事だった。
行く支度の妻がトイレに入ったと思うと、また電話。
「料理できるの?」
妻が電話し直して「できません」と伝えていた。
車ですっ飛んでいくと料理されたヒラメが私たちを待っていた。
先日は別の家からクロダイをもらった。
その時にはクロダイのムニエルとワインで少し洋風感覚の夕食になった。
今回はヒラメの刺身と潮汁そして妻の北海道の知人から頂いた飯寿司さらに飲み物は志太泉の濁り酒である。
今回の濁り酒は封を開けるときの吹きこぼれがない。
4合まるまる飲める。
それでも封を開けるときに「プフッ」いよいよビンから出て食卓に着くという酒の「いきごみ」のような「自分の生きの良さ」みたいなものを感じた。
酒の準備は私だ。
大きなウルシ塗りの片口に丸々4合を空ける。
透明な日本酒と沈殿している白い酒粕状態のものとが渾然一体となり片口の表面にブクブクと小さな泡を放出する様は、まるで日本酒が米から酒に変化する時の無から有に変わる瞬間を再び表現しているかのようだった。
妻が席に着くほんの少しの時間が惜しいほどガツガツしている。
席に着くや否や私は選び抜いた古伊万里のそば猪口に白い泡の御神酒を注いだ。
「カンパーイ」
さあ味わいの時間だ。
濁り酒を一口飲むと「あー美味しい」。
二人の感想やタイミングは全く同じ。
その後刺身や飯寿司や潮を食す。
それぞれがそれぞれの良さを引き出して美味しいことこの上ない。
先日とは違って今回は完ぺきな和食だ。
それもまるで大名のような食事と思えた。
ただ今日の終わりに惰性で臨むところだったのでテーブルの上はとっ散らかったままだ。
これが大名とは大きく違う。
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