テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 替わり変わる《妖怪》たち ~

2022-05-08 23:21:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむむッ? ひとあしィはやくゥ~…」

「がるる!ぐるる~る」(←訳:虎です!どろろ~ん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 八十八夜も立夏も過ぎて、

 少しずつ近付いてきたのは、

 そう、《怪談》の季節ですね。

 そこで本日の読書タイムは、

 怖~いものの歴史を探るこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

      ―― 図説 日本妖怪史 ――

 

 

 著者は香川雅信(かがわ・まさのぶ)さん、

 2022年1月に発行されました。

 

 《妖怪》……というと、近年は、

 『ろくろ首』『豆腐小僧』『のっぺらぼう』などの江戸期のもの、

 水木しげるさんの《鬼太郎》シリーズなど20世紀のもの、

 と、恐怖や緊迫感よりも

 ユーモア漂うキャラクター的な存在として

 お馴染みですね。

 

「けれどもォ~!」

「ぐるるがるるるぐぅるる!」(←訳:本当はそんなんじゃない!)

 

 著者・香川さんは

 御本冒頭の『はじめに』で

 きっぱり断言しています。

 

 江戸時代にザシキワラシはいなかった!

 ザシキワラシの最古の記述は明治40年(1907年)!

 ついでに言っちゃうと、

 『子泣き爺』『砂かけ婆』『一反木綿』も

 最古の記述は昭和、なんです!

 

 『天狗』は古代日本に漂着した鼻の高い外国人説?

 いや、それも有り得ない!

 『天狗』の鼻が高い、というイメージは

 江戸時代に広まったものなのだから。

 

「ごかいィ~でスねッ!」

「がるるるるぐる!」(←訳:積み重なる誤解!)

 

 なぜ、こんな誤解が起きてしまったのか。

 その答えを、香川さんは《歴史》に求めます。

 

   妖怪たちは昔から変わらない……とは限らない。

   人間の考え方やものの見方が

   時代によって変わるのと同様に、

    妖怪もまた幾多の変遷を経て今に到った。

   妖怪にだって歴史があるのだ。

 

「れきしのォ、はじまりィはァ~…むむゥ!」

「ぐるがっる??」(←訳:古代だって??)

 

 全体の構成は、

 

 序章『妖怪の発生』

 第一章『古代の妖怪』

 第二章『中世の妖怪』

 第三章『江戸時代の妖怪Ⅰ』

 第四章『江戸時代の妖怪Ⅱ』

 第五章『近代の妖怪』

 

 となっていて、

 第三章以降では、

 私たちのよく知る……いえ、

 知ったつもりになっていた妖怪たちが

 登場してきます。

 

 どの章も驚きに満ちていて、

 

 『病名としての妖怪』(28ページ)や、

 平安時代には『酒呑童子』の話など存在しなかったと喝破する

 『怪物退治の物語』(38ページ)、

 

 そして、

 

 『聖徳太子と人魚』(20ページ)、

 『髪切り――怪異から妖怪へ』(68ページ)、

 『《件》の誕生』(108ページ)、

 『ツチノコ――妖怪からUMAへ』(120ページ)

 『江戸の都市伝説』(102ページ)

 

 と題された各コラムが

 本当に素晴らしく面白~い!

 

「おどろきィ~もものきィ!」

「がるるるぐる!」(←訳:まさかの事実!)

 

 人間の顔に牛の身体を持つ妖怪、

 《件(くだん)》。

 

 いいや、妖怪ではなかったのだろう、

 と香川さんは述べます。

 《件》は妖怪でも魔物でもなく、

 おそらく実在したのだ……。

 

「どきどきィしまスゥ!」

「ぐるるがるぐる!」(←訳:新しい観点だよ!)

 

 私たちは、あまりにも

 民俗学的な見方で、

 《妖怪》たちを捉え、眺めていたのではないか。

 

 私ネーさ、反省いたしました。

 偏ってちゃダメよね。

 

「もっとォ、ひろォ~いィこころでッ!」

「ぐるるるがるるるる!」(←訳:多角的に見てゆこう!)

 

 時代の推移とともに

 大きく変化する《妖怪》たちの姿。

 

 歴史好きな活字マニアさんに

 特におすすめしたい一冊です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

コメント
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