「こんにちわッ、テディちゃでス!
むむむッ? ひとあしィはやくゥ~…」
「がるる!ぐるる~る」(←訳:虎です!どろろ~ん!)
こんにちは、ネーさです。
八十八夜も立夏も過ぎて、
少しずつ近付いてきたのは、
そう、《怪談》の季節ですね。
そこで本日の読書タイムは、
怖~いものの歴史を探るこちらの御本を、どうぞ~♪
―― 図説 日本妖怪史 ――
著者は香川雅信(かがわ・まさのぶ)さん、
2022年1月に発行されました。
《妖怪》……というと、近年は、
『ろくろ首』『豆腐小僧』『のっぺらぼう』などの江戸期のもの、
水木しげるさんの《鬼太郎》シリーズなど20世紀のもの、
と、恐怖や緊迫感よりも
ユーモア漂うキャラクター的な存在として
お馴染みですね。
「けれどもォ~!」
「ぐるるがるるるぐぅるる!」(←訳:本当はそんなんじゃない!)
著者・香川さんは
御本冒頭の『はじめに』で
きっぱり断言しています。
江戸時代にザシキワラシはいなかった!
ザシキワラシの最古の記述は明治40年(1907年)!
ついでに言っちゃうと、
『子泣き爺』『砂かけ婆』『一反木綿』も
最古の記述は昭和、なんです!
『天狗』は古代日本に漂着した鼻の高い外国人説?
いや、それも有り得ない!
『天狗』の鼻が高い、というイメージは
江戸時代に広まったものなのだから。
「ごかいィ~でスねッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:積み重なる誤解!)
なぜ、こんな誤解が起きてしまったのか。
その答えを、香川さんは《歴史》に求めます。
妖怪たちは昔から変わらない……とは限らない。
人間の考え方やものの見方が
時代によって変わるのと同様に、
妖怪もまた幾多の変遷を経て今に到った。
妖怪にだって歴史があるのだ。
「れきしのォ、はじまりィはァ~…むむゥ!」
「ぐるがっる??」(←訳:古代だって??)
全体の構成は、
序章『妖怪の発生』
第一章『古代の妖怪』
第二章『中世の妖怪』
第三章『江戸時代の妖怪Ⅰ』
第四章『江戸時代の妖怪Ⅱ』
第五章『近代の妖怪』
となっていて、
第三章以降では、
私たちのよく知る……いえ、
知ったつもりになっていた妖怪たちが
登場してきます。
どの章も驚きに満ちていて、
『病名としての妖怪』(28ページ)や、
平安時代には『酒呑童子』の話など存在しなかったと喝破する
『怪物退治の物語』(38ページ)、
そして、
『聖徳太子と人魚』(20ページ)、
『髪切り――怪異から妖怪へ』(68ページ)、
『《件》の誕生』(108ページ)、
『ツチノコ――妖怪からUMAへ』(120ページ)
『江戸の都市伝説』(102ページ)
と題された各コラムが
本当に素晴らしく面白~い!
「おどろきィ~もものきィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:まさかの事実!)
人間の顔に牛の身体を持つ妖怪、
《件(くだん)》。
いいや、妖怪ではなかったのだろう、
と香川さんは述べます。
《件》は妖怪でも魔物でもなく、
おそらく実在したのだ……。
「どきどきィしまスゥ!」
「ぐるるがるぐる!」(←訳:新しい観点だよ!)
私たちは、あまりにも
民俗学的な見方で、
《妖怪》たちを捉え、眺めていたのではないか。
私ネーさ、反省いたしました。
偏ってちゃダメよね。
「もっとォ、ひろォ~いィこころでッ!」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:多角的に見てゆこう!)
時代の推移とともに
大きく変化する《妖怪》たちの姿。
歴史好きな活字マニアさんに
特におすすめしたい一冊です。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫