「こんにちわッ、テディちゃでス!
♪るるゥ~おおきなァ~のッぽのォ~ふっるどけいィ~♪」
「がるる!ぐるるるるるがる~♫」(←訳:虎です!おじいさんの時計~♫)
こんにちは、ネーさです。
《時の記念日》に制定されているのは、6月10日。
今は5月ですから少々フライング気味ではありますけれど、
本日の読書タイムは、
《時》をテーマにした作品にご登場いただきましょう。
さあ、こちらを、どうぞ~!
―― 時計屋探偵の冒険 ――
著者は大山誠一郎(おおやま・せいいちろう)さん、
2022年3月に発行されました。
『アリバイ崩し承ります2』と副題が付されています。
先日ご紹介しました『連続自殺事件』は
世界中のミステリファンから
《密室の巨匠》と讃えられる
ジョン・ディクスン・カーさんの作品でした。
ところが、ここに
《アリバイ破りの巨匠》が……?
「おどろきのォ、はやわざァなのでス!」
「ぐるがるる!」(←訳:瞬殺だよう!)
カーさんの作品の探偵である
どっしりずっしり迫力満点型フェル博士……に対し、
この御本で活躍する
《時計屋探偵》さんは……あららっ♪
「たようせいィ~でスねッ!」
「がぅるるーるる!」(←訳:ジェンダーレス!)
年の頃は二十代半ば、
色白でボブの髪型、つぶらな瞳、
どことなく白兎を思わせる雰囲気の小柄な女性――
ちょっと階段を上るだけで
ゼーゼーと肩で息をしてしまうフェル博士を、
そっくり裏返しにしたような
美谷時乃(みたに・ときの)さんは、
『美谷時計店』の店主さんです。
「ちいさなァおみせェ、だけどォ~」
「ぐるがるぐる!」(←訳:腕は確かです!)
時乃さんの時計店に、
またアリバイ破りをお願いしたいんですが……
と、やって来るのは、
那野(なの)県警捜査一課の捜査員にして
物語の語り手である《僕》。
捜査一課でいちばん若く、
新入り、新人、などと呼ばれている《僕》は、
アリバイ崩しの名手と思われています。
ホントは、ええ、そうなんです、
一件5.000円の規定報酬で
時乃さんにアリバイ破りのアイディアを
授けてもらっている、のが実情で。
《僕》はもう、気恥ずかしくて。
「それはァ、ともかくゥ~?」
「がるるぐる?」(←訳:今度の事件は?)
今度の事件でもまた、
容疑者は強固なアリバイを持ち、
県警の捜査官さんたちを苛立たせます。
第1話『時計屋探偵と沈める車のアリバイ』
第2話『時計屋探偵と多すぎる証人のアリバイ』
第3話『時計屋探偵と一族のアリバイ』
第4話『時計屋探偵と二律背反(にりつはいはん)のアリバイ』
第5話『時計屋探偵と夏休みのアリバイ』
と、5つの短編作品が収録されていて、
軽やかにアリバイを打破する《なるほど!》感は
どのお話からも鮮やかに香り立ちますが、
私ネーさのイチ推しは、
『時計屋探偵と一族のアリバイ』……!
「むむむゥ~…こいつはァ~…」
「ぐるがる!」(←訳:難敵だぜ!)
いつものように、
秒速でアリバイ破り完了……したはずが、
《僕》の受難はまだ続く?
アリバイを破っただけではまだまだ解けない、
トリッキーな事件の真相は?
ネタバレ厳禁!なので
これ以上詳しくは書けませんが、
時乃さんの《アリバイの匠》っぷりに拍手したくなる全5作品、
ミステリ好きな活字マニアさんに
おすすめの一冊ですよ。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪