テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 黄昏の世界へ、ひらり ~

2022-05-09 22:16:24 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あううゥ、なけてしまうゥでスよゥ~!」

「がるる!ぐるるがるるる……!」(←訳:虎です!大勝利なのに涙……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第18回でほぼ主役だったのは、

 壇ノ浦に舞った男・義経さん、でしたが……

 哀しい予感を伴った幕切れとなりましたね。

 今後の奥州逃避行はどう描かれるのか、

 大いに心配しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 怖い家 ――

 

 

 編者はジョン・ランディスさん、

 原著は2020年に、画像の日本語版は2021年11月に発行されました。

 英語原題は『Haunted Houses』、

 《幽霊屋敷》をテーマとするアンソロジー作品です。

 

「うぎゃぎゃッ! こんかいィもッ?」

「ぐるる~!」(←訳:怪なり~!)

 

 ええ、前回記事では『図説 日本妖怪史』で《妖怪》を、

 そして今回は《幽霊屋敷》を、

 と怖いモノが続いておりまする。

 

 この御本には、

 エドガー・アラン・ポーさん著『アッシャー家の崩壊』

 H・G・ウェルズさん著『赤の間』

 H・P・ラヴクラフトさん著『忌み嫌われた家』他

 14篇の《幽霊屋敷》が収められているんです。

 ……いるんです……いるんです、けれども……。

 

 或る意味、

 最も“面白~い!“のは、

 短編14作品よりも、

 御本冒頭に配された編者さんによる

 『序章』です♫

 

「そのォひとのォ、おなまえェはァ~…」

「がるるぅるぐる!」(←訳:ランディスさん!)

 

 ジョン・デヴィッド・ランディスさんは、

 もちろん、あのランディスさんです。

 映画『ブルース・ブラザーズ』『狼男アメリカン』

 『星の王子 ニューヨークへ行く』他、

 さらに、

 マイケル・ジャクソンさんのPV『スリラー』の監督として、

 PV界に絶大な影響を与えた映像作家さん!

 

 そう、『スリラー』の監督をしただけあって、

 ランディスさんは古今のホラー小説にも詳しく、

 その知識は『序章』にも遺憾なく発揮されています。

 

 題して、

 『開けてはいけない扉がある』。

 

「むむむふゥ!」

「ぐるるっ♪」

 

 この『序章』で、

 ランディスさんは回想しています。

 

   幽霊を見たことは、一度もない。

   のだが、聞いたことはある。

 

   1970年代初め、

   ガールフレンドがハリウッドヒルズにある屋敷を

   二人の大学生とシェアしていた。

   その屋敷に、或る日、

   家政婦さんの金切り声が響き渡る……

   彼女は見たのだ、

   キッチンでお茶を飲んでいる白髪頭の男を。

   何をしているかと尋ねたところ、

   微笑んだ男の姿がゆっくりと薄れ、

   ふっと消えていったのを。

 

 何度か出現した男に、

 ついにランディスさんは会うことはなく、

 ただ確かに、

 玄関のドアが開閉する音、

 誰かが階段をのぼってくる音を聞いたのです。

 

 その日は、

 ランディスさんとガールフレンド以外、

 誰も屋敷にいなかったというのに。

 

「ひいいィ!」

「がるるるるぐるっ!」(←訳:さりげなく怖いっ!)

 

 こんな実体験、

 いえ、“耳体験“を持つランディスさんが選んだ

 14の作品は、

 ゴシックの古典、

 SFの香りがする作品や、

 笑いを誘う異色作、と多岐にわたります。

 

 それにランディスさん、

 日本のホラー映画や小説もお好きなのでしょう、

 14篇の中には小泉八雲さん著『和解』がありますよ。

 

「もっとォ、おはなしィしてほしいィでス!」

「ぐるるがるーるぐるる!」(←訳:日本のホラーについて!)

 

 ランディスさんによる『序章』を読み、

 それから本文へと進めば、

 文豪さんの手になる有名な《幽霊屋敷》譚も

 今までとはどこか違う……ように感じられるでしょうか。

 

 怪談愛好家さんに、

 怖いお話が好きな活字マニアさんに、

 おすすめの一冊です。

 ドアの向こうの黄昏の世界を、

 皆さま、ちょっとだけ、覗いてみてくださいね~♪

 

 

 

コメント
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