「こんにちわッ、テディちゃでス!
あううゥ、なけてしまうゥでスよゥ~!」
「がるる!ぐるるがるるる……!」(←訳:虎です!大勝利なのに涙……!)
こんにちは、ネーさです。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第18回でほぼ主役だったのは、
壇ノ浦に舞った男・義経さん、でしたが……
哀しい予感を伴った幕切れとなりましたね。
今後の奥州逃避行はどう描かれるのか、
大いに心配しながら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 怖い家 ――
編者はジョン・ランディスさん、
原著は2020年に、画像の日本語版は2021年11月に発行されました。
英語原題は『Haunted Houses』、
《幽霊屋敷》をテーマとするアンソロジー作品です。
「うぎゃぎゃッ! こんかいィもッ?」
「ぐるる~!」(←訳:怪なり~!)
ええ、前回記事では『図説 日本妖怪史』で《妖怪》を、
そして今回は《幽霊屋敷》を、
と怖いモノが続いておりまする。
この御本には、
エドガー・アラン・ポーさん著『アッシャー家の崩壊』
H・G・ウェルズさん著『赤の間』
H・P・ラヴクラフトさん著『忌み嫌われた家』他
14篇の《幽霊屋敷》が収められているんです。
……いるんです……いるんです、けれども……。
或る意味、
最も“面白~い!“のは、
短編14作品よりも、
御本冒頭に配された編者さんによる
『序章』です♫
「そのォひとのォ、おなまえェはァ~…」
「がるるぅるぐる!」(←訳:ランディスさん!)
ジョン・デヴィッド・ランディスさんは、
もちろん、あのランディスさんです。
映画『ブルース・ブラザーズ』『狼男アメリカン』
『星の王子 ニューヨークへ行く』他、
さらに、
マイケル・ジャクソンさんのPV『スリラー』の監督として、
PV界に絶大な影響を与えた映像作家さん!
そう、『スリラー』の監督をしただけあって、
ランディスさんは古今のホラー小説にも詳しく、
その知識は『序章』にも遺憾なく発揮されています。
題して、
『開けてはいけない扉がある』。
「むむむふゥ!」
「ぐるるっ♪」
この『序章』で、
ランディスさんは回想しています。
幽霊を見たことは、一度もない。
のだが、聞いたことはある。
1970年代初め、
ガールフレンドがハリウッドヒルズにある屋敷を
二人の大学生とシェアしていた。
その屋敷に、或る日、
家政婦さんの金切り声が響き渡る……
彼女は見たのだ、
キッチンでお茶を飲んでいる白髪頭の男を。
何をしているかと尋ねたところ、
微笑んだ男の姿がゆっくりと薄れ、
ふっと消えていったのを。
何度か出現した男に、
ついにランディスさんは会うことはなく、
ただ確かに、
玄関のドアが開閉する音、
誰かが階段をのぼってくる音を聞いたのです。
その日は、
ランディスさんとガールフレンド以外、
誰も屋敷にいなかったというのに。
「ひいいィ!」
「がるるるるぐるっ!」(←訳:さりげなく怖いっ!)
こんな実体験、
いえ、“耳体験“を持つランディスさんが選んだ
14の作品は、
ゴシックの古典、
SFの香りがする作品や、
笑いを誘う異色作、と多岐にわたります。
それにランディスさん、
日本のホラー映画や小説もお好きなのでしょう、
14篇の中には小泉八雲さん著『和解』がありますよ。
「もっとォ、おはなしィしてほしいィでス!」
「ぐるるがるーるぐるる!」(←訳:日本のホラーについて!)
ランディスさんによる『序章』を読み、
それから本文へと進めば、
文豪さんの手になる有名な《幽霊屋敷》譚も
今までとはどこか違う……ように感じられるでしょうか。
怪談愛好家さんに、
怖いお話が好きな活字マニアさんに、
おすすめの一冊です。
ドアの向こうの黄昏の世界を、
皆さま、ちょっとだけ、覗いてみてくださいね~♪