テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 絵の中の《語り部》たち ~

2022-05-18 23:26:25 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もふッ♪ こんどはァ、よしつねェさんッ!」

「がるる!ぐるるるるる?」(←訳:虎です!演じるのは誰?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 『光秀のスマホ』『土方のスマホ』に続いて

 NHKが放つSF時代劇《スマホ》シリーズ新作は

 『義経のスマホ』……!

 いったい誰が義経さんを演じるのか、もうワクワクです♫

 23日深夜0:25からの放送を待ちわびながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

       ―― 絵の中のモノ語り ――

 

 

 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、

 2021年12月に発行されました。

 通信販売カタログ誌『通販生活』、

 その後、月刊誌『エクラ』に連載された

 計32の美術エッセイが収録されています。

 

「ここにもォ、すまほッ、でまスかッ?」

「ぐるるる!」(←訳:でません!)

 

 画家さんが絵画の中に描き入れた

 “モノ“――さまざまなアイテムには、

 特別な意味や、意図が込められています。

 

 小さな蝶々一匹、

 剣ひとふり、

 一粒の水滴。

 

 そういった何気ない“モノ“が、

 ときにスマホやPCをも軽く上回る情報を、

 観る者にもたらすこともあります。

 

 たとえば、

 御本の表紙になっている

 ウィリアム・ホルマン・ハントさん(1827~1910)作

 『イザベルとバジルの鉢』。

 

「ばじるゥ?」

「がーるぐる!」(←訳:ハーブだね!)

 

 若い女性が抱きかかえる、

 大きめの、ハーブの鉢。

 

 別に奇妙な点はない……と見えますが、

 う~ん? いや、ちょっとヘン、かな?

 イタリア料理ではお馴染みの食材・バジルって、

 こんな風に室内で育てるんでしたっけ?

 お金持ちのお家なら、

 食材に相応しく、

 果樹用の温室あたりで育てた方がよいのでは……

 と思いますけれど。

 

 実は。

 この鉢には、ある“モノ“が隠されていたのでした。

 

 それは、

 愛の物語であり、

 計略と打算の凶刃であり、

 こころが裂かれるほどの嘆きであり、

 犯罪の証拠物件でもある“モノ“です。

 

 隠されているその“モノ“が

 日のもとに曝されれば、

 大騒ぎになることは間違いありません。

 

「あううゥ、おそろしィ~…!」

「ぐるがるぅ!」(←訳:悪夢だよぅ!)

 

 ただのモノではない“モノ“。

 

 著者・中野さんが取り上げるのは、

 『提灯』『百科事典』『猫』

 『箒』『馬そり』『日傘』

 『パイプオルガン』『甲冑』……

 といった多種多様な“モノ“たち。

 

 どの“モノ“にも、

 ドラマがあります。

 

 バジルの鉢には或る犯罪の物証が隠匿されていましたが、

 メキシコ人画家フリーダ・カーロさんの自画像(92ページ)、

 その首元に描かれたハチドリには、

 フリーダさんの絶望と希望、

 それに慟哭も……。

 

「むむゥ~…」

「がるるる~…」(←訳:せつない~…)

 

 “モノ“の背後にゆらめく、

 ヒトの思いと、

 長大で重厚なものがたり。

 

 中野さんの《怖い絵》シリーズファンの方々、

 アート好き&歴史好きな方々にも、

 おすすめですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
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