「こんにちわッ、テディちゃでス!
はらはらはらッ! どうしようゥ!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!心臓ドキドキ!)
こんにちは、ネーさです。
何気なくTVを見ていたら……あら、カルガモ親子の引っ越し?
しかも場所は私たちの地元・八王子の神社さん?
おお、チビたちよガンバれ! 無事に川へ辿り着いてくれ~!
よしやったぜ! 川に着いた!……と一喜一憂拍手喝采した後は、
さあ、カルガモ一家の長寿を祈願しながらの読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 江ノ島は猫の島である ――
著者は鳩見すた さん、2022年2月に発行されました。
可愛いカルガモ親子……ではなく、
江ノ島に住む猫たちが“主役“の短篇集ですよ。
「えのしまッ♫」
「ぐるる~!」(←訳:いいな~!)
江ノ島。
弁財天さまが祀られていることで有名な、
昔むかしからの観光地は、
ニャンコたちにも好まれているようです。
黒と薄灰色のキジトラ模様で
尻尾の先だけが黒い
ワガハイくんも、
江ノ島に暮らす地域猫なのですが――
「むむゥ? わがはいィ??」
「がるぐるるる?」(←訳:猫でワガハイ?)
おっと、早とちりしてはいけません。
ニャンコで、ワガハイ。
と言えば、あの文豪さんのあの名作を
誰もが思い浮かべることでしょう。
ニャンコにワガハイと名付けるなんで、
まるでパロディのようですけれど、
いえいえ、パロディや贋作にはあらず。
その人は、文豪さんの名作をリスペクトし、
敢えて、猫にワガハイと命名したのです。
「そのォひとッてェ~?」
「ぐるるがる?」(←訳:飼い主さん?)
世間の風からさり気なく
ワガハイくんを保護してくれていたその人は、
ふた月ほど前に
雲の彼方へ旅立ってゆきました。
それで、ワガハイくん、怒っているのです。
「おッ、おこるゥ??」
「がるぐっるるる?」(←訳:なぜ怒ってるの?)
その人のお墓は、
ワガハイくんの足でも歩いていける
江ノ島からごく近い霊園にあるのですけれど。
お花が、ない!
息子や孫は何してるんだ!
お墓参りに来いっ!!
ってね、墓前で嘆いては怒っているのですよ。
「ううゥむッ! こうなッたらァ?」
「ぐるるるるがるるるる!」(←訳:体育館裏に呼び出しだ!)
いえその、江ノ島に体育館はなさそうですので、
ワガハイくんは策略を練ります。
猫語は話せずとも、
猫の意思をくみ取ってくれる
察しのいい人間はいないものか?
あ、いるいる、いるぞ、
綾野(あやの)のじいさんだ!
あのじいさんに頼もう!
お墓参りしてやってくれ、って。
という次第で、綾野さん宅を訪ねたワガハイくんが
目にしたのは。
「あれれッ? あのォひとォ??」
「がるるるるぐぅるるる?」(←訳:おじいさんじゃないよ?)
綾野さんの家にいたのは、
みたこともない、ひとりの青年。
これだけでも尻尾の毛を逆立てるに充分な衝撃、ですが、
さらなる衝撃がワガハイくんを襲います。
この人間、猫の言葉がわかる……!
「わひゃひゃッ!」
「ぐるるぅ?」(←訳:本当にぃ?)
かくて出会った、
ワガハイくんと小路(こうじ)くん。
はたして、
ワガハイくんのこころは、願いは、
小路くんに通じる、のでしょうか。
短編4作品から成る
江ノ島と猫の物語は、
ニャンコ好きさんにはもちろん、
湘南の風物が大好きなんです♪という御方にも
おすすめですよ。
相模湾と富士山の晴れやかな絶景を想像しつつ、
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫