テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 工芸美の都市、金沢 ~

2021-04-20 23:35:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とうとうゥ、とびましたでス!」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!画期的~!)

 こんにちは、ネーさです。
 NASAによれば火星でヘリコプター飛行に成功!
 地球よりも薄~い大気の中、
 『インジェニュイティ』は人類史上初の
 快挙を成し遂げました!
 ああ、ブラッドベリさんやアシモフさんに
 お見せしたかったわぁ♪と感激しつつ、
 さあ、ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

 


 
 ―― 別冊太陽スペシャル 工芸の国、ニッポン。 ――



 2020年12月に発行された『別冊太陽』のスペシャル号には、
 『100年残るもの、100年受け継ぐもの。』
 と副題が付されています。

 日本が誇る《美》は
 お城や庭園や
 絵画やテキスタイルだけじゃない!
 工芸も見て~!
 という訳で、
 工芸マニアさんはニヤニヤしちゃう一冊ですね。

「でもォ、ちょッぴりィさみしィ~…!」
「ぐるるっるるぅ~…」(←訳:遠くなったよぅ~…)

 2020年3月、
 東京・竹橋の
 東京国立近代美術館工芸館は、
 静かにその役目を終えました。

 かつては近衛師団司令部庁舎であった
 レンガ造りの洋館から、
 石川県金沢への
 移転が決定したのです。

 すなわち、
 『国立工芸館』
 の誕生でした。

「むむゥ! こちらのォたてものもォ?」
「がるぐるがる!」(←訳:近代洋風建築!)

 新・工芸館の建物は、
 旧陸軍第九師団司令部庁舎と
 旧陸軍金沢偕行社(かいこうしゃ)。

 偕行社とは
 陸軍将校の社交クラブのことだそうですけれど、
 竹橋の近衛師団司令部庁舎と同様に、
 旧軍が所有した近代洋風建築が
 日本工芸美術の
 新たな『器(うつわ)』となったのは
 何かの縁でしょうか。

「てんじょうゥ、たかしィ!」
「ぐるがる!」(←訳:採光よし!)

 移転&新オープンに際して、
 建物2棟もリニューアル。
 
 この御本では、
 国立工芸館の目玉、いえ、
 工芸館の”魂”となる名作の数々と、
 建物自体の美しさが紹介されています。

 表紙の写真で
 思いっ切り”カワイイ!”を醸し出しているのは、
 桂盛行(かつら・もりゆき)さん作
 鶉四分一打出水滴(うずらしぶいちうちだしすいてき)
 (1971年)。

 他にも、
 並河靖之(なみかわ・やすゆき)さんの七宝作品、
 平田郷陽(ひらた・ごうよう)さんの人形作品、
 芹沢銈介(せりざわ・けいすけ)さんの染色作品などなど、
 近代~現代の工芸美術の傑作が集いますよ。

「ばしょもォ、さいこうゥでス!」
「がるるぐる!」(←訳:金沢の誉れ!)

 国立工芸館の周囲には、
 金沢城公園、
 兼六園、
 金沢21世紀ミュージアム、
 石川県立美術館、
 いしかわ生活工芸ミュージアム、
 いしかわ赤レンガミュージアム、と
 観光名所も集中しています。

 コロナ禍が終息して
 自由に旅行ができるようになったら、
 行きたい!金沢へ!

 と思われたアート好きさんは、
 ぜひ、この『別冊太陽』で
 金沢旅を一考してみてくださいね♫

「うずらちゃんもォ~」
「ぐっるるる!」(←訳:待ってるよ!)
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 転生、楽あれば苦あり?~

2021-04-19 23:39:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とッ! ととととッ、とんぼォ!」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!今年初トンボ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 4月なのに、トンボに遭遇するなんて!
 黄×黒のボディだったので、
 オニヤンマ? キイロヤマトンボ?
 トンボと一緒にもう夏が来ちゃうのかしら?と
 アタフタしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  


 
      ―― パリピ孔明 5 ――



 原作は四葉夕ト(よつば・ゆうと)さん、
 漫画は小川亮(おがわ・りょう)さん、
 2021年4月に発行されました。

 現在発売中の雑誌『BRUTUS』は
 マンガ特集号となっていて、
 《パリピ孔明》も
 大きく取り上げられていますね♪

「めでたやッ!」
「ぐる~!」(←訳:拍手~!)

 最新刊となるこの第5巻では、
 昔むかしの《三国志》時代から
 現代日本の渋谷へ、
 なぜか転生してしまった諸葛亮孔明さん、
 相変わらず奔走しております。

 世間的には無名の、
 歌手・英子(えいこ)さん。

 ”世界のステージ”を夢見る英子さんの軍師として、
 知恵を巡らせ、
 策を練り、
 巨大フェス『サマーソニア』の出演権を
 ついに獲得!

 というのが、
 第4巻でのメイントピックでしたけれども……

「ちゅうもんッ、つけられちゃッたでス!」
「がるるるぅ~!」(←訳:キツイなぁ~!)

 『サマーソニア』のステージに立つには、
 オリジナル曲が足りない。

 少なくとも、あと4曲。
 完成させたばかりの1曲と合わせて、
 計5曲が必要である。

 ってね、
 フェスのプロデューサーさんが
 言うものですから。

「いそいでェ、つくらなくちゃッ!」
「ぐるる!」(←訳:新曲を!)

 こういった展開になろうかと
 先を見越していた孔明さん、
 或る有名なアーティストさんと
 約束を交わしておりました。

 しかし……?

「おやァ~?」
「がる~?」(←訳:あれ~?)

 孔明さんが約束した相手は、
 ジャズ界の新星と話題の
 若月(わかつき)三兄妹。

 この3人が、
 顔を合わせれば喧嘩ケンカで、
 英子さんのための
 曲作りどころじゃありません。

「けんかはァ、だめェでスよゥ~!」
「ぐるるがるるる~!」(←訳:仲良くしようよ~!)

 三兄妹とのエピソードに続き、
 御本の後半部分では、
 ヴィラン(悪役)的というか、
 憎まれ役ともいうべき
 新キャラさんが登場します。

 また、巻末には、
 え?
 と目を丸くしてしまうオマケがあったり、と
 今後の変容も予感させる《パリピ孔明》第五巻、
 コミック好きな御方も、
 《三国志》マニアの皆さまも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 東の《こわさ》と、西の《怖さ》 ~

2021-04-18 23:37:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じゅゥわッちィ!」
「がるる!ぐぅるっ!」(←訳:虎です!ジュワッ!)

 こんにちは、ネーさです。
 エレキングだ!カプセル怪獣だ!
 《サンダーバード》さながらの出撃シーン!
 と、BSの『ウルトラセブン』に
 大声援を送った日曜夜のしめくくりは、
 はい、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 異形のものたち ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
 2021年4月に発行されました。
 『絵画のなかの《怪》を読む』と
 副題が付されています。

 前回記事では、
 『北斎 展』に出展されている
 北斎さんの《百物語》について
 ちょこっとお喋りしました。

「さらやしきィ!」
「ぐる!」(←訳:般若!)

 北斎さんが描いた『こはだ小平二』や『笑ひはんにや』が
 東洋の《怪》だとするならば、
 著者・中野さんがこの御本で取り上げているのは、
 西洋世界の《怪》であると申せましょうか。

 第1章『人獣』
 第2章『蛇』
 第3章『悪魔と天使』
 第4章『キメラ』
 第5章『ただならぬ気配』
 第6章『妖精・魔女』
 第7章『魑魅魍魎』

 という7つの章には、
 図版も豊富に掲載されていて……

「むむむゥ! ちがいィまスよゥ!」
「がるるる!」(←訳:違うよね!)

 北斎さんの作品は、
 浮世絵らしくデフォルメされていましたし、
 怖さだけでなく
 哀愁や寂寥、
 ユーモアさえ感じられました。

 対して、
 西洋の画家さんたちは、
 (当然ではありますが)
 油彩画や銅版画で《怪》を描き出しています。

 その結果、
 画面から流れ出てくるのは、

 ”生々しさ”。

 ゴヤさん描く《魔女》、
 ベックリンさん描く《人魚》、
 ボッティチェリさん描く《ケンタウロス》も、
 絵の具をぼってり重ねた
 3Dの迫力。

 本文115ページには、
 歌川国芳さん作『京都鵺大尾』の図版もありますが、
 ルーベンスさんやティントレットさんの作品の前では、
 どうしても平面的に見えてしまう……。

 そう、
 西洋の《怪》は、“濃い“んですね。

 そして、その“濃さ”が、
 時を経て日本に流れてくると。

「ひかりのォくにィからッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ボクらの星へ!)

 ウルトラマン、
 そしてウルトラセブン。

 銀と赤の、
 輝くばかりの造型。

 20世紀の日本が、
 昭和の時代の日本が生んだ彼らもまた、
 ひとつの《異形》であり、
 《怪》でしょうか。

 王女アンドロメダを救う英雄ペルセウス、
 身を挺して人類を護る
 現代のプロメテウスを想わせる
 ヒトを越えた存在。

「こわくゥないィのならァ~」
「がるるぐる!」(←訳:大歓迎です!)

 気付けば、すぐそこに。
 すぐ隣りに。

 神話に、伝説に、
 日常生活の中に、
 素知らぬ顔で紛れ込もうとする
 《異形》たちの物語は、
 著者・中野さんの《怖い絵》シリーズファンの方々、
 歴史好き&怪談好きな活字マニアさんに
 おすすめですよ。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 北斎さんに、会いに行こう ~

2021-04-17 23:48:29 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いッちィにィ~さんッしィ~!」
「がるる!ぐぅるるがぅるる!」(←訳:虎です!ジャンプジャンプ!)

 こんにちは、ネーさです。
 遠くへお出掛けできない今日この頃、
 運動不足をひしひしと感じます。
 ストレッチやらラジオ体操をしながら、
 さあ、本日は読書……をサボって、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 北斎 展 ――



 東京・八王子の八王子市夢美術館にて、
 会期は2021年4月9日~6月6日
 (月曜休館、ただし5/3は開館し5/6が休館)、
 『世界が絶賛した浮世絵師』と副題が付されています。

 都心方面へのお出掛けは
 断腸の思いでガマンしますけれども、
 テクテク歩いてゆける
 地元の美術館ならいいわよね!
 ということで♫

「ほくさいィさんッ!」
「ぐっるるるるるぅ~!」(←訳:行ってきましたぁ~!)
 
  

 江戸後期を代表する浮世絵師、
 いえもう、日本を代表するアーティスト
 葛飾北斎さん(1760~1849)。

 この展覧会には、
 ”春朗”の名を用いていた青年時代から、
 ”北斎”以降の時代まで、
 100点以上の浮世絵(版画作品)と
 肉筆画6作品が出展されています。

「ふじさんッ、ありまスゥ~!」
「がっるるるる!」(←訳:カッコいいぜ!)

 遠近法を意識して
 作品に取り入れた周作期の作品、
 もはや説明の必要もない
 《冨嶽》シリーズも
 まさしく眼福なのですが……

  

 おお!これは!!と、
 私ネーさが感激しましたのは、
 妖怪絵5作品!

 『こはだ小平二』
 『笑ひはんにや』
 『さらやしき』
 『お岩さん』
 『志うねん』

 と、《百物語》の名作が並ぶ様子は
 壮観でしたわ!

「むむッ! 
 こわいィけどォ~…」
「ぐるるる?」(←訳:怖くない?)

 怖い絵、のはずですのに、
 恐怖よりも、
 “飄々“というべきか、
 “軽快”と形容すべきか……
 なんとも摩訶不思議な作風です。

 これは、江戸の庶民さんにも
 好まれただろうなぁと思わされましたよ。
 
  

 会場には、
 北斎さんに影響を受けたフランスの画家
 アンリ・リヴィエールさん(1864~1951)作
 《エッフェル塔三十六景》
 も展示されていて、
 なかなか愉しゅうございました♫

 なお、作品保護のため、
 展示室の照明はけっこう暗くなっています
 (ホントに暗いんですよ!)。

 それでも、
 コンパクトに傑作ばかりで構成された
 《北斎 展》は見応えあり!
 浮世絵好きな御方も
 江戸アート好きな御方も、
 多摩地域にお住まいの方々は
 ぜひ、お出掛けしてみてくださいね~♪
 
 


 
    では、ここでオマケ画像も、じゃじゃん!
   
    『シャトレーゼ』さんの
    《純生クリームどら焼き》は……
    ミニサイズのパンケーキ??
    「いくらでもォ~たべられちゃうゥ!」
    「がるーるるぐるるがる!」(←訳:クリームも生地も美味!)
    おいしいオヤツを頬張りながら、
    皆さま、穏やかな休日を♫
    
 

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 白鳥、飛び立つ ~

2021-04-16 23:42:21 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むぎゅゥ! しゅうまつゥ~なのでスゥ♪」
「がるる!ぐる~っるるる!」(←訳:虎です!リラ~ックスで!)

 こんにちは、ネーさです。
 今週末の関東圏は、
 お天気は荒れ模様ですし、
 『まん延防止等重点措置』が適用されていますから、
 お家でゆっくり読書タイム!
 ということで、本日は、こちらの御本を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
       ―― カンパニー ――



 著者は伊吹有喜(いぶき・ゆき)さん、
 2017年5月に発行されました。
 現在は文庫版も刊行されています。

「どらまにィ~なッたのでスよゥ!」
「ぐるるっるる!」(←訳:面白かったね!)

 今年2021年の1月から3月にかけて
 NHKのBSプレミアムで放送された
 『カンパニー~逆転のスワン~』は、
 バレエ好きな方々の間で
 大きな話題となりました。

 イノッチこと井ノ原快彦さんに、
 宮尾俊太郎さん、古川雄大さん、
 小西真奈美さん、黒木瞳さん、
 坂井真紀さん他の豪華なキャストに、
 熊川哲也さん率いるKバレエカンパニー監修による
 迫力あるバレエ場面!

「おんがくもォ、すてきィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:美術も衣装も!)

 映像には、映像ならではの
 魅力があります。

 ダンサーさんたちが
 レッスンしているシーンの説得力!
 女性ダンサーさんたちの
 ダンスウェアのデザインがオシャレで可愛い!
 本番の舞台での照明、
 バレエ独特のメイクと衣装と、
 素晴らしいカメラワーク!

「どのォばめんもォ~」
「ぐるがるるる!」(←訳:目が離せない!)

 対して、
 小説には小説だけが有する良さがあります。

 登場人物たちの、こころの機微。
 言葉のリズム、テンポ。
 映像には乗せられなかった
 暗喩や、温度……。

 そう、
 青柳誠一(あおやぎ・せいいち)さん、
 会社員、47歳。
 彼を取り巻く空気は、
 冷え切ってはいませんでしたけれど、
 微妙に寒々しい……

 だって、
 通告されちゃったんですから。

「ふたつにィ~ひとつゥ!」
「がるるるる!」(←訳:選ばないと!)

 窓際部署に異動するか?
 それとも、
 社が後援するバレエ団への出向か?

「よりもよッてェ~??」
「ぐるる!」(←訳:バレエ!)

 おそらく一般的な日本人男性がそうであるように、
 バレエ、と唐突に言われても、
 青柳さんの頭の中は
 《?》
 だらけです。

 しかし、ここは……

 行ってみねば、カンパニーへ。

「はらをォ、くくろうゥ!」
「がるるるる!」(←訳:飛び込もう!)

 カンパニーというのは
 会社ではなく、
 バレエ団を意味しています。

 予想もしなかった新天地、
 敷島バレエ団で青柳さんが担うのは、
 《白鳥の湖》公演の大仕事ですが……

「たてつづけにィ、ぴんちィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:毎日がピンチ!)

 青柳さんと、
 バレエ団と、
 そして
 ダンサーさんたちの未来は?

 活字マニアさんは
 原作小説を、
 映像好きな方々は
 NHKオンデマンドで
 ドラマを視聴してみてくださいね。
 もちろん、
 小説とドラマ、両方を楽しむのも
 おすすめですので、
 皆さま、ぜひ~♪
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 稜線の白と黒 ~

2021-04-15 23:47:07 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わくわくのォ、かまくらッ?」
「がるるぐるがる~!」(←訳:虎です!期待倍増~!)

 こんにちは、ネーさです。
 2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、
 さらなるキャスト発表が行われて
 新垣結衣さんが大河初参加!
 衣装はどういう感じなのかなぁ♪と、
 想像の翼を広げながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  


 
      ―― デス・ゾーン ――



 著者は河野啓(こうの・さとし)さん、
 2020年11月に発行されました。
 『栗城史多のエベレスト劇場』と
 副題が付されています。

「ふァ? えべれすとでェ?」
「ぐるぅ~??」(←訳:劇場ぅ~??)

 世界最高峰エベレスト(チョモランマ)。
 
 数え切れぬ登山家さんたちが挑んでは、
 或る者は成功して快哉を叫び、
 また
 或る者は拒まれて涙を流す――
 
 いまも昔も
 ひとを魅了してやまぬその山稜で、
 2018年5月21日、
 ひとりの日本人男性が
 生命を落としました。

 栗城史多(くりき・のぶかず)さん。
 
「あらすかァ、なんきょくゥ!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:ロシアやアフリカ!)

 若くして世界の名峰難峰を
 次々と攻略、
 踏破してゆく栗城さんに寄せられたのは、
 賞賛の声……だけではありませんでした。

 ”山よりもビジネスの才能の方があった”

 そう評されるほど
 登山資金集めに長け、
 メディアへの出演も厭わなかったことから、
 栗城さんの周囲には、
 まさに賛否両論……
 さまざまな意見が渦巻いたのです。

「それでもォ、やめずにィ~」
「ぐるがるる?」(←訳:登り続ける?)

 若くしてキャリアを築いて
 順風満帆、のように見えた栗城さんでしたが、
 無傷だったわけではなく、
 凍傷で9本の指を失っていました。

 登山家として致命的ともいえる
 そんな状態であっても、
 なぜ、
 エベレストに挑み続けるのか。

 なぜ、
 登れるはずのない最難関ルートへ向かったのか。

 その死は、
 本当に事故であったのだろうか――

 かつて栗城さんに取材した経験を持つ
 著者・河野さんは考えます。

 彼は……何者だったのだろう?

「そのォこたえはァ~…」
「がるぐる?」(←訳:氷の峰に?)

 この御本では、
 登山家・栗城さん、
 友人知人さんたちから見た栗城さん、
 メディア上での栗城さん、と
 複雑な人物像が描かれ、交錯します。

 その中の、
 はたしてどの顔が本物なのか……
 いえそれとも、
 未だ誰も栗城さんの真の顔を知らない、のか?

 第18回開講兼ノンフィクション大賞を受賞した
 気鋭の長編作品は、
 ノンフィクション好きな活字マニアさんに
 おすすめの一冊ですよ。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。
 
 
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ カワイイPUI!が大渋滞! ~

2021-04-14 23:30:28 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうゥ~しんこくゥなのでス!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!ロスだよね!)

 こんにちは、ネーさです。
 ここ数週間、私たちを苦しめているのは、
 《モルカーロス》……!
 が、一向にふさがらないココロの傷を癒すべく、
 或る絵本が到着しましたよ。
 本日の読書タイムは、
 さあ、PUI PUIが溢れるこちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
  ―― PUI PUI モルカー 渋滞はだれのせい? ――



 監修は見里朝希(みさと・ともき)さん、
 シンエイ動画の皆さん、
 2021年4月に発行されました。
 テレビ東京系『きんだーてれび』にて放送されるや
 直後から大人気となったパペットアニメ作品を
 絵本化したものです。

「きょういのォ、こまどりィあにめェ!」
「ぐるるるるがるるーぐる!」(←訳:ころころのモルカーたち!)

 そこは、
 モルモットが車になった(進化した)《モルカー》たちが
 人間の”飼い主”、いえ、ドライバーと暮らす世界。

 《モルカー》のポテトくんは
 今日もドライバーのおねえさんを乗せて
 出発!したものの……。

「ふわわァ、つッかえてるゥ~!」
「がるぐる!」(←訳:渋滞だよ!)

 ああ、このままでは遅刻してしまうわ!
 と慌てるおねえさん。
 ポテトくんも困り果てますが……
 いや、待った!

 後方からやって来たのは、
 急病人さんを搬送中の
 救急モルカー!

「どどどッ、どうしようゥ~!」
「ぐるがるるぅ!」(←訳:渋滞なのにぃ!)

 救急モルカーを、
 急病人さんを助けるために、
 どうするポテトくん?
 どんな解決策が?

 という、
 大人もチビッ子も手に汗握る
 『渋滞はだれのせい?』、
 TV放送は終了しましたけれども、
 現在はアマゾンプライムなどで
 鑑賞することができますよ。
 
 映像大好き派の方々はネット配信でいいけれど、
 わたし静止画像派なんです!
 絵本でモルカーたちに再会したいんです!
 と熱望する方々は、
 発売されたばかりの
 『PUI PUI モルカー 渋滞はだれのせい?』を手に、
 どうか祈ってくださいね。

「いつのひかァ、はじまりまスようにィ!」
「がーるるるる!」(←訳:シーズン2が!)

 そして、
 モルカーたちの生みの親・見里朝希さんに
 すっかり惚れちゃった方々に
 おすすめしたいのは、
 見里さんの
 東京藝術大学大学院修了作品である
 『マイリトルゴート』。

 パリ国際ファンタスティック映画祭をはじめ、
 数多の映画祭で賞を獲得した短編作品は、
 モルカーと同じくパペットアニメでありながら、
 おとぎ話やホラー、
 児童虐待、アクションなどの要素を織り込んだ
 怪作にして大傑作です。

 扱っているテーマゆえに、
 小さなお子さん方には
 鑑賞が難しい作品ではありますが、
 大人の方々は、
 機会があったら、どうかぜひ、
 ご覧になってみてくださいね。
 激おすすめですよ~!
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 敬意とともに、ぱくり!と ~

2021-04-13 23:42:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおッ! つばめくんッ、きましたでスゥ~!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!今年は早いね!)

 こんにちは、ネーさです。
 チュイチュイピュピュ♪と鳴く声は、
 ええ、確かにツバメたちのもの。
 サクラもフジのお花もツバメたちの到来も
 前倒し気味の2021年、
 春よそんなに急がないでおくれと願いつつ、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
       ―― 遺したい味 ――



 著者は平松洋子(ひらまつ・ようこ)さん、
 姜尚美(かん・さんみ)さん、
 2021年1月に発行されました。
 『わたしの東京、わたしの京都』と
 副題が付されています。

「とうきょうゥと、きょうとォ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:美味しい往復書簡!)

 東京にお住まいの平松洋子さん、
 そして
 京都にお住まいの姜尚美さん。

 離れた街に暮らしながら、
 おふたりがそれぞれに
 美味しいお店の存在を教え合う
 往復書簡スタイルで編成されたこの御本には、
 2019年1月から
 2020年12月までの
 “味の便り”が収録されています。

「まずはァ、めんるいィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:おそばの名店!)

 先ずは、
 平松さんが姜さんに書き送ります。

 東京『神田まつや』さんの
 お蕎麦の美味しさ。

 それへ姜さんが応えて紹介するのは、

 京都『上七軒ふた葉』さんの
 京うどん。

「いいなァ~♪」
「ぐるがるるるる!」(←訳:お腹空いてきた!)

 と、めん類あれば、
 お煎餅あり、
 さくさくロースカツあり、
 下町のおだんごあり、
 どぜう鍋もあって、
 お赤飯もあり。

「おせきはんッ!」
「がっるるぐるるるる!」(←訳:すっごく惹かれます!)

 京都・堀川下立売の『鳴海餅本店』さんの
 お赤飯。

 本文78ページ、
 姜さんによるお赤飯紹介、
 いえ、お赤飯論には
 お赤飯の歴史も語られていたり、
 京童さんたちのお赤飯愛も
 ひしひしと伝わってくる一篇です。

「ぱんもォ、みのがせませんッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:懐かしい味!)

 本文38ページに登場するのは、
 平松さんが”まちに愛される”と評するのは、
 東京・西荻窪の『しみずや』さん。

 八十代半ばにして
 バリバリの現役パン職人の店主さんが
 おひとりで営むお店は、
 すぐにでも行ってみたい!
 食べてみたい!と、
 興奮させられました。

 お写真が載っているのですけれど、
 私ネーさ、
 大好きなんですよ、こういうコッペパンが♫

「ぐゥぐゥ~!」(←お腹の虫が鳴く音)
「がるる~!」(←これもお腹の虫の呻き声)

 美味しいお店を、教え合うこと。

 ここでしか味わえないもの、
 ずっとなくなってほしくないものについて
 語り合うこと。

 コロナ禍による苦境の中、
 飲食店さんへの敬意がにじむ
 上質な《食》ガイド本です。
 本文はもちろん、
 巻末の『往復書簡を終えて』も併せて、
 みなさま、ぜひ、一読を♪
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 描いて、彫って、摺って、魅せる ~

2021-04-12 23:54:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 まつやまさァんッ! おめでとうゥ~なのでス!」
「がるる!ぐるるるーるがる!」(←訳:虎です!祝マスターズ制覇!)

 こんにちは、ネーさです。
 松山英樹さんが米国ジョージア州オーガスタで
 マスターズ優勝!!
 おめでとうございます!
 そして明るいニュースをおりがとう!
 と感謝の拍手を送りたくなりましたよ。
 オーガスタの美しい空にうっとり見惚れながら、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
     ―― 大福三つ巴 ――



 著者は田牧大和(たまき・やまと)さん、
 2021年1月に発行されました。
 『宝来堂うまいもん番付』と
 シリーズ題名が付されています。

 今日は朝から
 松山さんのマスターズ制覇報道一色となりましたが、
 昨夜放送の大河『青天を衝け』は
 桜田門外の変が描かれたこともあって、
 SNS上では大いに盛り上がりましたね。

「れきしがァ、うごいたのでス!」
「ぐるるがるる!」(←訳:大事件でした!)

 『青天を衝け』については
 もっともっとお喋りしたいところ……を
 ググッと堪え、
 今回ご紹介いたしますのは、
 お武家さんではなく、
 庶民さんたちが主役の物語です。

「はなのォ、おえどはォ!」
「がるるるぐる!」(←訳:超大都市です!)

 家康さんが開いた都は、
 大人口を抱える
 世界有数の大都市になりました。

 その大都市で、
 情報伝達の手段として
 無視できないチカラを有していたのが
 板元(はんもと)です。

 読売(よみうり)、
 名所画、美人画、
 評判の読み本など、
 彫って摺って売り捌くお仕事は、
 現代でいう新聞社兼出版社のような
 ものでしょうか。

「ゆうめいなのはァ~」
「ぐるがる!」(←訳:蔦屋さん!)
 
 江戸の町には、
 人気の画師さんや彫師さんたちなど、
 職掌ごとに何人もの職人さんを抱える
 有名な大手さんがあれば、
 ほとんど無名の
 小さな板元さんもありました。

 下谷坂本町の
 《宝来堂(ほうらいどう)》は、
 ごく小さな板元です。

 店主の、夕(ゆう)さん。
 夕さんの姪の、小春(こはる)ちゃん。
 彫りと摺りを担当する政(まさ)さん。

 たった3人で切り回す《宝来堂》は、
 もっぱら地味な名所画(めいしょえ)を
 商っているのですけれども――

「むむゥ? これはッ?」
「がるる!」(←訳:番付だ!)

 江戸時代、
 《見立番付(みたてばんづけ)》は
 大ヒットしました。

 食べるものから、
 名所、みやげもの、花、
 医師に剣豪、手習所……
 相撲の番付に見立てて
 大関やら関脇にランク付けした《見立番付》。
 
 番付を摺る仕事を請け負ったはいいものの、
 それがなんと、
 トラブルの火種に?

「いつのォよにもォ~」
「ぐるーるーるがるるる?」(←訳:クレーマーがいるんだ?)

 弱小板元に何ができる?

 思いもしなかった事態と相対するのは、
 《宝来堂》の絵師でもある小春ちゃん。

 弱小板元に何ができる?
 小春ちゃんの闘いの行方は?
 
 ネタバレになってしまうので
 これ以上詳しくは記せませんが、
 江戸の庶民の、
 江戸を支えた職人さんたちの、
 誇りと日々の喜びが描かれた物語は
 歴史好きな活字マニアさんにおすすめです。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 春宵の《香菜里屋》から ~

2021-04-11 23:33:29 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るる~♪せぶんッせぶんッせぶゥ~んッ♪」
「がるる!ぐるがるぐるる!」(←訳:虎です!特撮最高だよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 日曜朝8時、BSで放送中の『ウルトラセブン』、
 素晴らしゅうございました。
 円谷プロが誇るミニチュアの精密さ!
 アンヌ隊員の凛々しさ!
 来週のお話は……とワクワクを募らせながら、
 さあ、読書タイムもしっかりと!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
    ―― 花の下にて春死なむ ――



 著者は北森鴻(きたもり・こう)さん、
 2021年2月に発行されました。
 《香菜里屋シリーズ1〈新装版〉》と
 シリーズ題名が付されています。

 2001年に文庫化された作品が、
 今春、新装版としてあらためて刊行されたものです。

「うるとらせぶんとォ、おなじィ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:再びの登場!)

 そうね、
 4Kデジタルリマスター化されて
 美しい映像を取り戻した『ウルトラセブン』同様、
 ぜひとも注目&再評価していただきたいのが
 《香菜里屋シリーズ》を含む
 北森鴻さんの著作です。

 この御本には、

 『花の下にて春死なむ』
 『家族写真』
 『終の棲み家』
 『殺人者の赤い手』
 『七皿は多すぎる』
 『魚の交わり』

 という6作品が収録されていますが、
 先ずは、表題作品である
 『花の下にて春死なむ』、
 おすすめですよ。

「みじかいィ~のにィ!」
「がるるる!」(←訳:濃いんだ!)

 ひとりの俳人さんが亡くなりました。

 事件性はなく、
 病死と判断されたものの、
 調べたところ、
 身元が不明……?

 彼の生地は? 
 家族は?
 名前でさえも、
 本当の名であったか、
 今となっては分かりません。

「まるでェ、まぼろしィ……?」
「ぐるがるるるるぐるる!」(←訳:いやそんなことないよ!)

 ええ、俳句の会の仲間は、
 彼の身元を突き止めようと決意します。

 遺品の手帳に、
 かつて交わした会話の中に、
 手掛かりは必ず有る……!

 その決意を後押ししてくれるのは、
 バー『香菜里屋(かなりや)』のマスター
 工藤(くどう)さん。

「こまッたときはァ~」
「がるるるるぐる!」(←訳:工藤さんが頼り!)

 お客さんが持ち込む謎を解く、
 安楽椅子探偵型ミステリ、と思いきや、
 あちこちに仕掛けが?
 
 第52回日本推理作家協会賞の
 短編および連作短編部門受賞作となった
 『花の下にて春死なむ』は、
 ミステリ好きさんだけでなく、
 短編好きな方々、
 歴史好きな活字マニアさんにも
 手に取っていただきたい傑作です。
 本屋さんで、図書館で、
 探してみてくださいね~♫
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする