明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

龍頭  


天井画その他描き継がれて来た龍だが、大迫力なのにどこか可愛らしかったり、ユーモラスな表情の龍が多いが、立体でそんな龍は記憶にない。立体の場合は、都合の良い所だけ作れば良い、というわけに行かない。鉄腕アトムのツノや花形満や矢吹丈の前髪のような物である。撮影用の立体であれば、こちらの都合で視点を定められるので気にする必要はない。夜の夢こそまことだ、と江戸川乱歩から学んだ? 袖からただ顔を出す龍は半身だけで良いのだが、雲竜図など雲で隠せばこれで充分だ、と良からぬことをつい考えてしまう。


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龍の頭、髭と牙以外はほぼ完成。写真写りを優先し、あえて左右非対称歪めて作った。絵画では普通のことである。私のもっとも好きなヌード絵画クラナッハも解剖学的にはメチャクチャである。人形を撮影するようになり、初個展の翌年作家シリーズに転校し早々に、江戸川乱歩がピストル構えてアドバルーンに乗っている『帝都上空』を制作した。これは造形の段階で、極端な遠近感を付けて制作し、それをさらに広角レンズで撮った。田村写真で最初にプリントを見た時のことは忘れられない。異形の被写体ゆえの効果は作った私ししか知らない。 江戸川乱歩の作品は整合性云々をいう人もいるが、そんなことより何よりあの文体が肝心である。乱歩チルドレンの私も1カットで私と判る文体を持ちたくて挙句に陰影を排除することに。



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