ここ十数年余りの間、テレビ番組のジャンルとして、料理・食べ歩き・グルメ、いわゆる食に関するものが、番組市場の一分野として席巻している。そして、最近では、あっという間に、酒、酒場、飲み歩きのような番組も増えだしている。会社員時代は、何となく、『酒場放浪記』を観ていたが、少し時間が出来ると、必ず、毎週観ていたようである。他の酒場番組もドンドン増え、他人が飲み、肴を美味しいと言い、人生を語り、失敗体験などに、何故かどこにでもあるほろっと共感する人々が画面にいることに、自分自身が心の休まりを感じているようである。視聴者には酒の味がわかるのでもなく、新鮮でなさそうな鮪の刺身にもおいしそうに食べる、そして、酒の力で、周囲の人々に気を許して、場を作る。まあこれだけでもいいかっとも思うが、リハーサルや撮り直しNGがあるとなると、途端に興ざめするのである。