現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

10/13 名古屋駅にて

2008-10-14 11:48:40 | 虚無僧日記
久々に何も予定がない祭日。JR名古屋駅前に立つ。
日を追って、通行人の心が遠ざかっていくようだ。
もう、虚無僧にケータイのカメラを向ける人もいない。
カメラを抱えた外国人が一人、二人撮ってくれただけ。

3時間吹いて反応ゼロ。空しく帰りかけた時、すれ違い
ざまに、ジャラジャラと男性が投げ銭をしてくれた。
また元気を出して名鉄前で吹く。

年配のご婦人が一人、20代のスーツにネクタイ姿の
青年が小銭を入れてくださる。昼より夜の方がいい。

夜7時を過ぎる頃から、右足の膝下に激痛が走る。
今まで感じたことのない痛さだ。

(さては、骨のガンか?)私の伯父は、エベレストに
行って、足の痛みを感じ、帰国してまもなく骨のガンで
亡くなった。いろいろ悪いことを思いめぐらす。

そこへ、ステキな若い女性が近寄ってきて、「握手して
ください」と。ドギマギしながら握手に応じる。温かい
ぬくもりを感じた。私は子供の頃から握手とか、他人と
肌が触れ合うのが苦手なのである。母と手をつないで
歩いた記憶がないからだろうか。

「握手を求められるなんて、私の方が幸せな気分になり
ます。あなたの幸せを祈らせていただきます」と私。
「ありがとうございます」なんてステキな人だろう。
その瞬間、足の痛みを忘れていた。

彼女に触れた手で膝下の痛い箇所を触わってみた。
原因はすぐわかった。脚絆の紐をきつくしばりすぎて
いたのだ。結び目が膝下の骨に食い込み、血のめぐりが
悪くなっていたのだ。紐を緩めると、痛みは解消した。

彼女は私にとって観音様の再来だったのだ。

帰りの電車賃が無い!

2008-10-14 10:33:40 | 虚無僧日記
浜松まで、新幹線で行けば5,000円。在来線なら2,000円。
帰りは公演料がいただけるからと、3,000円だけもって出た。
楽器博物館で、カタログを買って所持金ゼロに。

公演開始前に、博物館の職員から「公演料は振込みで」
と言われて、すーっと血の気が引いた。帰れない。

あわてて、公演開始前40分だったが、虚無僧姿で外に飛び
出した。幸いなことに、近くの小さな神社で秋祭りがあった。
階段下で尺八を吹くと、祭の法被を着た氏子の方が、一人、
二人、三人と階段を下りてきて、喜捨してくださった。
まさに神の助けである。参詣者の方も、子供も。さすが浜松で
ある。名古屋ではこうはいかない。

そして、公演終了後も、観客の何人かが、「心洗われるいい
音色でした」「昔子供の頃、家に虚無僧が来て、父が 『あそこ
(偈箱)に入れてきなさい』と、お金を渡してくれたのを思い出
します」と、みなさん次々にチャリーン。〆て計2,500円。

ありがたいことだ。これで在来線で帰れた。時間も十分間に
合った。新幹線に乗らずとも済んだのだ。



10/12 郵便のうたごえ祭典

2008-10-14 10:28:47 | 虚無僧日記
浜松の後、急ぎ名古屋に戻り、夜は、郵便局職員の
「うたごえ祭典」に招かれゲスト出演。
広島、京都、東京からも参加し、全国大会への出場
チームを決めるコンクールで、審査の合間、時間
つなぎで、私がトークと尺八演奏。
声が出ないので、言葉数を控え、ゆっくり間をとっての
トークが良かったようだ。皆さん乗ってくれた。

郵便局も民営化され、郵便、銀行、保険の三事業に
分断され、労働加重でサークル活動も困難な時代。
かつての労働運動の生き残りだ。「団結、戦え!」
のムードの中、「明も暗も心の内よ」という私の
話は場違いのようだが、それでも、アメリカ、ロシア、
バーレーンなどの演奏旅行の話は、多いに受けた。
聞き手の乗りがいいと、尺八演奏も冴える。

私の「一路ワールド」も、ひとつの頂点が見えてきた。

10/12 浜松博物館

2008-10-14 10:02:31 | 虚無僧日記
ヤマハの竹内氏の紹介で、浜松博物館で「虚無僧と
尺八」をテーマに尺八演奏とトーク。
午前中は和楽器の尚雅堂さんの案内で、楽器博物館
を見学させていただいた。「古鏡」や「虎月」などの古管
が10本ほど展示されてあった。


さて、「虚無僧と尺八」で、人は集まるのだろうか疑問
だったが、100名ほどの席がほぼ満席。

浜松には普大寺という虚無僧寺があった。普化宗が
明治になって廃止されると、普大寺の廃墟跡で、山葉
虎楠が手風琴の製造を始めた。虚無僧寺がヤマハの
発祥の地なのだ。

また、普大寺の虚無僧が吹いた曲は、名古屋の西園流に
受け継がれ、さらに鈴木孝道(樋口対山)によって京都に
移る。現在、明暗流と称している曲のほとんどは、京都
明暗寺の伝承曲ではなく、浜松普大寺系統なのだ。

そんなことで、一般の方にも関心をもっていただけたか、
みなさん熱心に興味深く聴いてくださった。
公演が終わっても、2、30人ほどの方が残り、熱心な
質問攻めにあった。「こんなことは初めて」だと、館長
も喜んでくださった。

竹内氏の奥様も聞きにきておられ、先日ネットで手に
入れたばかりの古い(大正時代か?)尺八の音色が
「なんとも すばらしい」と絶賛してくださった。