朝8時から6時間。夕方5時から吹いて、夜10時。
まだ200円ちょっと。これでは帰れない。さらに
がんばる。目もショボショボ、意識も時々スーと
なくなる。ふと目を開けると、太った中年男性が
私の目の前に1万円札をチラつかせてフラフラ
立っている。一瞬“ドキン”である。はっと我に
帰って尺八を吹き始めると、
「要らない? あそう、いらない」と、1万円札を
しまいこみ、ふらつく足で去って行ってしまった。
「なんだったの?」である。一睡の幻影だったか。
また気を取り直して、尺八を吹く。
すると今度は、女性連れの紳士。二人で飲んで帰り
だろう。気分もよさそう。女性が私の方を見て、
はっと口に両手を当てて驚きの声をあげた。
すると男性も立ち止まって、しばらく私の方を見て
いて、小銭を出して近づいてきた。穏やかな笑顔の
紳士である。
2尺4寸と2尺と1尺6寸の3本を持っていたので、
「どう違うのか」と聞いてくる。そこで3本の尺八
をそれぞれ吹き分けると、ひとつひとつ感動して
くれ、1,000円札と、彼女も 500円玉を入れてくれた。
これで今夜は帰れる。延々12時間立って吹いて、
1700円。地下鉄代を差し引いたら 1,200円。時間給
100円。ワーキングプアだ。でも、いただけただけでも
仏に感謝。いただけることが奇跡、ありえない、あり
難いことなのだ。
「尺八と一休語りの虚無僧一路」のホームページも見てください。
まだ200円ちょっと。これでは帰れない。さらに
がんばる。目もショボショボ、意識も時々スーと
なくなる。ふと目を開けると、太った中年男性が
私の目の前に1万円札をチラつかせてフラフラ
立っている。一瞬“ドキン”である。はっと我に
帰って尺八を吹き始めると、
「要らない? あそう、いらない」と、1万円札を
しまいこみ、ふらつく足で去って行ってしまった。
「なんだったの?」である。一睡の幻影だったか。
また気を取り直して、尺八を吹く。
すると今度は、女性連れの紳士。二人で飲んで帰り
だろう。気分もよさそう。女性が私の方を見て、
はっと口に両手を当てて驚きの声をあげた。
すると男性も立ち止まって、しばらく私の方を見て
いて、小銭を出して近づいてきた。穏やかな笑顔の
紳士である。
2尺4寸と2尺と1尺6寸の3本を持っていたので、
「どう違うのか」と聞いてくる。そこで3本の尺八
をそれぞれ吹き分けると、ひとつひとつ感動して
くれ、1,000円札と、彼女も 500円玉を入れてくれた。
これで今夜は帰れる。延々12時間立って吹いて、
1700円。地下鉄代を差し引いたら 1,200円。時間給
100円。ワーキングプアだ。でも、いただけただけでも
仏に感謝。いただけることが奇跡、ありえない、あり
難いことなのだ。
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