ケイの読書日記

個人が書く書評

笠井潔「バイバイ、エンジェル」

2007-01-21 18:21:46 | Weblog
 アンドレとかジルベールとか、少女マンガでお馴染みの名前が沢山出てきて、最初は気恥ずかしかった。


 パリの高級アパルトマンの一室で、血の池の中央に外出用の服を着てうつぶせに横たわっていた女の死体にはあるべき場所に首がなかった。(また首無し死体かよ!! ちょっと飽きてきたね。)
 司法警察警視の娘ナディアは、奇妙な日本人矢吹駆(やぶきかける)とともに事件の謎を追う。


 推理小説としての構成はしっかりとしていると思うが、設定が…ねぇ。
 いくらなんでもフランス語が母語でない駆が、ナディアやその他大勢の生粋のフランス人たちとあんな抽象的な観念的な議論ができるんだろうか?

 この矢吹駆は、容姿も運動能力も頭脳も非常に高水準の人間として描かれているが、まるで銃を持たない華奢になったヂューク東郷(ゴルゴ13)って感じですね。
 特にこの語学力の高さは凄すぎます。
 サンスクリット語を話すんですよ。サンスクリット語って文字として存在するのは分かりますが、サンスクリット語で会話している人たちって存在するんでしょうか?

 ヒマラヤの寺院で一冬過ごしたり、駆君は若いのに本当に忙しそうです。


 それに、警察の高級幹部であるモガールが、いくら娘の友人だからと言って外国人(それも東洋人)を厚遇するのも不自然。フランスのエリート官僚というのは、すごくプライドが高いでしょうに。
 「ダ・ヴィンチ・コード」にもプライドの権化みたいな人が登場していました。


 駆の悪口ばかり書いてしまいましたが、彼のストイックさは私の好み。このシリーズを読んでみるつもりです。
コメント
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