ケイの読書日記

個人が書く書評

鮎川哲也「りら荘事件」

2008-06-27 11:17:58 | Weblog
 秩父の山荘に、夏休みを利用した7人の芸術大学の学生が遊びに来る。しかし、その初日から次々と殺人事件が起こる。
 そして、不思議な事に、死体の傍らにはトランプのスペードのカードが意味ありげに置かれていた…。
 
 最終的にこのカードはスペードの7まで使われる。すごい大量殺人。まるで金田一耕助状態。本当に殺したいのはほんの数人だが、自分がやった事を気付かれそうになると、つぎつぎ殺していく。


 私は、鮎川哲也の代表作「黒いトランク」よりも、こっちの「りら荘事件」の方が出来が良いんじゃないかと思う。
 「黒いトランク」は確かに本格物として、きっちりしているかもしれないが、時刻表や地図が出てきて読みにくい。

 この「りら荘事件」は大きなトリックは無いが、小さなトリックでもなかなか工夫されており、いたる所に伏線が張ってあって、アンフェアなところが無い。

 特に女流ヴァイオリニストの毒殺事件など、なかなか凝ったトリックだと思う。


 ただ名探偵”星影竜三”がどうも…ね。魅力に乏しい。全ての事件が起こってしまってから、その謎解きに登場するが、ぱっとしない。華が無い。
 名前からして、もう結構と思わせるような名前ですね。
コメント (4)
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