ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「ネジ式ザゼツキー」

2008-08-11 11:00:25 | Weblog
 記憶の一部をなくした男が書いた奇妙な童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』。
 蜜柑の木の上にある村、ネジ式の関節を持つ妖精、人口筋肉で羽ばたく飛行機…妄想としか思えない男の話から、前代未聞の異形な死体が見えてくる。
 御手洗が、その謎から導き出した真実とは…?

 前半がとても良かったので(特にファンタジー童話『タンジール蜜柑共和国への帰還』は素晴らしい)後半も期待したが、うーん、ずいぶん無理な終わり方。

 このミステリ最大の謎、1976年フィリピンのバタンガスで発生したネジ式殺人事件。
 被害者は胴体と頭部が切断され、それぞれ直径9cmほどのオネジとメネジがはめ込まれていた。
 いったい誰が何のためにそんな馬鹿げた事をしたのか、それについては論理的に解決されていて、島田荘司の力量には感心するが、それ以外はどうもいただけないなぁ。

 とにかく、解決部分で意外すぎる人たちが唐突に登場する。
 それに、御手洗の研究室の中だけで、パソコンと電話を使って全てが解決するって…そんなのアリ?!
 それほど御手洗の頭脳が優れていると言いたいんだろうが、周りが皆無能と強調しているようで、いい気分ではない。


 話は変わるが、島田荘司の小説に記憶障碍の人間が度々登場するが、そこら辺の記述は中々正確らしい。
 先日、新聞を読んでいたら、ナントカいう精神科医がその事について感心していた。 
 島田センセイ、ちゃんと調べてるんだ。
コメント (4)
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