ケイの読書日記

個人が書く書評

有栖川有栖「46番目の密室」

2008-11-10 11:01:05 | Weblog
 45の密室トリックを発表した推理小説の大家が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を突っ込み、焼かれると言う悲惨な姿で…。
 はたして彼は、自身の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか?

 
 すっごく面白い。密室トリックの本家、ジョン・ディクスン・カーの作品よりもうんと上質じゃないか? カーの密室物って、そんなに優れているかなぁ。(確かに『ユダの窓』などは良いと思うけど)
 オカルティックな雰囲気は素晴らしいが、肝心のトリックがなーんだという事が多い。
 かえってポール・アルテの方が優れていると思うこともしばしばあった。(『第四の扉』なんて単純だけど、いいトリックだと思う)


 有栖川有栖も負けてはいない。あちこちに伏線をちりばめ「ああ、あのイタズラには、こういう意味があったのか」「あの時の驚きはこういう感情があったからなのか」と、全ての出来事がつながってくる。

 
 私は「火村が嫌い」と以前書いたが、どうしよう、どんどん好きになってきて困る。初期の作品に遡って読んでいるからかな。
 この「46番目の密室」は、推理作家・有栖川有栖と犯罪学者・火村英生のコンビが始めて登場する1992年の作品。だから2人の大学時代でのなれそめ(?)が、書かれているが、そういう所も好ましい。
 『緋色の研究』のホームズとワトソンのなれそめが好ましいのと同様に。

 それと比較すると、御手洗・石岡コンビには、あまり惹かれるものが無い。石岡があまりにもぼんくらすぎるのかな。
コメント (3)
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