ケイの読書日記

個人が書く書評

綾辻行人「人形館の殺人」

2009-01-19 16:20:03 | Weblog
 なかなかの力作。他の館シリーズと比べて、舞台となる人形館がこじんまりしていて好感が持てる。

 館シリーズの館って、人里はなれた辺境の地にお城のようなお屋敷がそびえたち、しかし使用人はほんの数人、どうやって屋敷を維持してるんだろう、ハウスキーピングをなめとんのか!!と喚きたくなるような設定が多い。

 しかし、この人形館は京都のお屋敷町にある年季の入った日本家屋と、つづきである古ぼけた洋風の下宿屋。
 人形館というから、妖しい魅力を持ったアンティークドールでも飾ってあるのかと思ったら、体の一部が欠落している等身大のマネキン人形があちこちに設置してあって、父親の遺言でそれらを遺棄してはいけないことになっている。
 怖いですねーっ!! 夜中に一人でおトイレに行けないじゃないか!

 父親が死んで、想一がその『人形館』に移り住んだその時から、恐ろしい事件が次々と起こり始める。
 その想一の大学時代の友人が島田潔。

 お話の半分くらいで、一人の人間が犯人らしいと示唆されるが、しかしこれは館シリーズ。最後でドンデン返しがあり、思いもがけない人間が犯人なんだよな、と読むほうも心得ている。
 そして、やっぱり最後にあっと驚く結末が用意されているのだが…。

 作者は、読者サービスのつもりだろうが、そんなに無理して意外な結末にする必要はないと思う。
 いいんじゃない?! もっとも犯人らしい人が犯人で。
コメント (2)
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