ケイの読書日記

個人が書く書評

角田光代「愛がなんだ」

2009-05-14 11:18:51 | 角田光代
 後の表紙に「全力疾走・片想い小説」と紹介してあるが、片想いなんてかわいいものじゃない。「全力疾走・ストーカー小説」ですな。これは。
 作者の角田光代が上手いから、またよけいキモチ悪い。

 OLのテルコは、マモちゃんが大好き。彼から電話があれば仕事中でもケータイで長電話。食事に誘われれば終業前に退社。
 すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる。
 だが、マモちゃんはテルコが好きじゃないのだ。他にも誰も相手が見つからない時、仕方なしに誘うだけだ。
 そりゃそうでしょ。オトコは追いかければ逃げ出す性質を持っているもの。


 テルコのは愛情というより執着。もともと執着気質なのだ。たいしたオトコでもないのに、今まで費やした時間とお金を考えると手放せない。ぺったりと張り付いている。

 そんなテルコの友達は、みな勇ましい。オトコにどれだけ金を遣わせるかで自分の価値が決まると考えている。
 彼女達の周りには、「アッシー君」「メッシー君」「ミツグ君」が、ひしめいている。懐かしい言葉だなぁ。そうでしょう。彼女達はバブル世代の女だから。
 テルコみたいな女はこの時代、異端者だよ。
コメント (2)
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