ケイの読書日記

個人が書く書評

横溝正史「獄門島」

2009-11-15 17:33:55 | Weblog
 有栖川有栖や赤川次郎が、横溝作品の中で一番好きだと書いていたし、たかさんが全ミステリの中で№1だと高い評価をしていたので読んでみる。

 ここで一つお詫びがあります。35年ほど前、横溝正史の爆発的ブームがあった時、主だった作品は読んだつもりだったが、この「獄門島」はどうも読んでいなかったみたい。
 それを、読んだのに忘れてしまった、何て書いてごめんなさい。そうだよ。こんな完成度の高い作品をキレイサッパリ忘れちゃうなんて事、ありえないよ。
 「獄門島」ファンの皆様、お詫び申しあげます。


 「3人の妹達が殺される。おれの代わりに獄門島に行ってくれ」戦地から復員してくる途中に死んだ戦友・鬼頭の遺言で、金田一は彼の故郷・獄門島を訪れる。

 瀬戸内海に浮かぶ小島で、網元として君臨する鬼頭家。
 そこで金田一は美しいが頭のネジが緩んでいる鬼頭三姉妹に出会った。その後、遺言どおり、悪夢のような連続殺人事件が立て続けに起こる!
 いつもどおり金田一は殺人を防げない。しかし珍しく、防げない事に自責の念に駆られている。

 終戦後の混乱期、不吉な名前を持った閉鎖的な島、地主と小作人以上に封建的な関係の網元と漁師、そういった横溝正史的エッセンスがふんだんに盛り込まれていて、素晴らしく面白い。
 難を言うなら、小説として面白すぎてトリックがあまり印象に残らないという事かなぁ。釣鐘のトリックなんて、とても優れているけれど。
コメント (4)
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