有栖川有栖「女王国の城」

　舞台は、急成長している新興宗教の聖地・神倉。

　大学に顔を見せない江神部長は、どうやらその神倉に行ったらしい。
　部長の身を案じた推理研究会のメンバー4人は、神倉の＜女王の城＞で部長の安否は確認したものの、思いもかけず殺人事件に遭遇。
　ところが教団は事件を警察に通報しようともせず、外界との交流をシャットアウト。
部外者である江神たち5人をも軟禁する。
　決死の脱出と真相究明を試みるが、その後も殺人は続発し…。


　江神シリーズの特徴のクローズド・サークルと本格色が色濃く出ている。
　長編なので、色んな枝葉末節はついているが、それを取り払って根幹部分で考えると、犯人がわかるかも。（私にはサッパリ分からなかったが）


　しかし宗教とは怖ろしいものです。信者達も、そして女王の城がある村の人たちも教団との取引で利益を得て生活しているから、一致団結して嘘をつく。殺人なんて簡単に隠蔽できる。

　
　皆さん、覚えているかなぁ。新聞にも小さく載っていたし、TVのワイドショーでも取り上げられていた。2～3年前の事件だと思う。

　万病に効くという水を売っていたちっぽけな宗教団体が起こした事件。

　寿司屋のおかみさんが自宅で殺されて発見された。自分が暴行して殺したと夫や娘夫婦が自首する。でも調べていくと、どうもおかしい。追求すると驚くべき事実が発覚。

　おかみさんや夫や娘夫婦は、その万病に効くという水を信奉する宗教の信者で、おかみさんと他の信者の間でトラブルがあったらしい。
　おかみさんは教団施設に呼び出され、教団の偉い人の指示で大勢の信者から暴行を受けた結果、死亡。
　慌てた教団は、夫や娘夫婦に教団施設ではなく自宅で家族から暴行され死んだことにするよう指示し、家族もそれを受け入れ、自宅のテーブルや椅子をひっくり返し、偽装工作をしたらしい。

　夫はともかく、娘もその指示に従ったとは。怖いなぁ。