ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「眩暈」

2010-09-03 17:16:19 | Weblog
 御手洗の恩師が偶然手に入れた手記。そこには驚愕の文章が記されていた。


切断した男女の死体が合成され、両性具有者となって蘇る。窓の外には、核戦争後の荒涼とした世界の終焉の光景が広がっている。
太陽がやけに小さい。まるで別の惑星に来てしまったようだ。人や車も見えない。いるのは人の姿をしたウサギやブタばかりだ。

「占星術殺人事件」を愛読する青年が書き残した、この手記の意味するものは何か?


 恩師はこれを精神異常者の書いた文章だとし、御手洗はこれを、きわめて正常な人間が書いたロジカルな文章だとする。


 トリックはなるほど、大掛かりなもので魅力的。こうすれば確かに、不可能だと思われていた事の説明はつく。…が、さすがに細かい所にムリがたくさん出てくる。

 例えば、幽霊マンションの秘密なんて、秘密でもなんでもない。転落事故があったのに、警察がその謎を突き止められないなんてありえないよ。
 子どもでも1日で見破る事ができるよ。
コメント (6)
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