ケイの読書日記

個人が書く書評

糸山秋子「ニート」

2010-11-29 16:33:33 | Weblog
 帯に「傑作小説とは、こんなにも危険で、こんなにも甘美なものだとあらためて震えました  ダ・ヴィンチ編集長・横里隆」という賛美の言葉が載っているが…私にはムカつくだけの中・短篇集だった。

 無職の男が、昔少しかかわりのあった女のもとに転がり込んでくる話が、3篇入っている。
 その、ガス代どころか電気代も払えなくてパソコンも使えなくなった男が、世間的に少し成功し余裕のある暮らしをしている女の住居にもぐりこみ、1週間ほど暮らし、しかも自発的に出て行ってくれるというのは…あまりにも世の中の男女関係を無視しているのではないだろうか?

 だいたいこういう場合、男はヒモ化し、女に金をせびり、暴力をふるい、いつまでたっても出て行こうとせず、食費も家賃も払わないのに、我がもの顔でのさばるのだ。

 そこで、女はあきらめるか、男と大立ち回りをするか、手切れ金を渡すかして、決着をつける。

 その修羅場を読むのがすごく楽しいのに、金もせしめないで自分のアパートに帰るヒモ男の気が知れない。
 どうせまた行き詰るのに。

 ああ、もっと後味のいい小説を読みたいね。
コメント
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