ケイの読書日記

個人が書く書評

北村薫「冬のオペラ」

2011-05-23 15:19:31 | Weblog
 先日、NHKで3週連続「探偵Xからの挑戦状」という番組をやっていて、その中の一つが北村薫の書き下ろし原作ミステリドラマだった。

 そこに名探偵・巫(かんなぎ)弓彦が颯爽と登場。ワトスン役は姫宮あゆみ。

 へぇー、巫(かんなぎ)弓彦か…。知らんなぁ。どうも、北村薫の『冬のオペラ』という作品集で活躍する名探偵らしい。
 ということで、さっそく『冬のオペラ』を読んでみる。

 ミステリ作品としては、北村薫らしく上品。トリックも北村薫らしく博識が必要で、種明かしされても、そもそも知識が無いので「ふーん、そうなの」で終わる。「やられたっ!!」という悔しさは無い。

 ただ、この名探偵・巫弓彦がユニーク。
 職業探偵で、一応、探偵事務所を構えてはいるが、お客さんはサッパリ。当然食べていけるわけが無く、定休日の月・水・金はバイトにあけくれている。
 それもそのはず、取り扱うのは「人知を超えた難事件(本人いわく)だけで、身元調査等、一般の探偵業は行ないません」と看板に書いてあるし、依頼も断っている。

 でも最初は何でもない事件と思われても、重大な犯罪につながっている事は、ホームズの事件簿を読んでもよくあるでしょう。(例えば、消えた料理女を捜して、とか、家庭教師に行ってもいいかという相談etc)
 そういった展開になれば面白いと思うけど、巫先生はスパッと門前払いだからなぁ。

「名探偵は、なるのではない。ある時に自分がそうであることに気付くのです」巫先生のこの言葉は名言ですね。
コメント
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