ケイの読書日記

個人が書く書評

皆川博子「猫舌男爵」

2011-11-01 15:00:43 | Weblog
 皆川博子の小説をたくさん読んだわけじゃないから、断言はできないが…この人はすごく少女マンガっぽい雰囲気があるね。いい意味で。

 1930年生まれ。つまり御年80歳以上なのだ。実家の母より年上。とてもじゃないが、そんな年寄りとは思えない。
 この人も、ライトノベルとかボーイズラブ小説が好きなんじゃないだろうか? 作中に「やおい」が出てきて驚きました。


 5つの中短篇が載っていて、やっぱり表題作『猫舌男爵』が一番面白い。
 この小説は変わっている。日本語を専攻しているポーランド人の学生が、古本屋で日本語の古本に出会い、それをデタラメに翻訳する、そのデタラメぶりが笑える!!

 そもそも、彼がナゼ極めて少人数の日本文学ゼミナールに出席するようになったかと言うと、日本語から英訳された山田風太郎の忍法物がとても面白く、その続きがどうしても読みたかったようである(このポーランド人は英語はすらすら読める)彼の発音ではヤマダ・フタロ、これも可愛い。

 山田風太郎の忍法物は、皆川博子先生の愛読書なのだろうか? ちょっと意外な気がするが、マンガ家の木原敏江も山田風太郎が一番好きと書いてあったから、こういった耽美ものを書く人を惹きつける魅力があるのだろう。

 それから、このポーランド学生が書くWWⅡって何か分かります? 第二次世界大戦のことらしい。ヨーロッパの方では、これで分かるのかな?


 そうそう、1985年「壁ー旅芝居殺人事件」で第38回日本推理作家協会賞長編賞を受賞している。芸達者なのだ。これもぜひ読まなければ。
コメント (2)
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