「くまちゃん」というのは、くまの絵柄のトレーナーを着ている自称芸術家の男の愛称。苑子はそのくまちゃんにふられ、第2話では、そのくまちゃんがゆりえにふられ、第3話では、ゆりえはマキトにふられ…。
というように、ふった人が次にふられて…という具合に、この連作集は進む。
もちろん同時ではなく、半年から1年ぐらいの間隔があり、1990年代から2000年を過ぎるあたりの時間の中で、恋をし、ふられ、年齢を重ねていく、究極のふられ小説。
いろんな男女がいるなぁ。女では、ぼうっとしているように見えて、ちゃっかり狙った男のマンションに潜り込み、わざと時計を忘れて再度、会う約束を作る、緻密な計画派。
でも、印象に残るのは、そういった男女の駆け引きではなくて、かつて華やかな世界にいた人間が、売れなくなってどうしているかという事。
この連作集の中では、かつて一世を風靡したロックミュージシャンと、マスコミの寵児としてもてはやされたレストランオーナーシェフが出てくる。
そうだよね。チヤホヤされる時間はあまりにも短い。だって次から次に新しいスターが出てくるんだもの。賞味期限切れの人間はさっさと退場しなければ。
自分から退場しなければ、押し出されるだけだ。
元ロックミュージシャンは、デザイン事務所を手伝い、元レストランオーナーシェフは女子寮のまかないをするため、熱海に行く。
でも、この二人、ふてくされている訳じゃない。「自分で目の前の1個1個の仕事をやっつけてかなきゃならない」という事がよく分かっている。
第6話なんて、中島敦の「山月記」にも劣らないほど、教訓を含んだいい話だと思うよ。
というように、ふった人が次にふられて…という具合に、この連作集は進む。
もちろん同時ではなく、半年から1年ぐらいの間隔があり、1990年代から2000年を過ぎるあたりの時間の中で、恋をし、ふられ、年齢を重ねていく、究極のふられ小説。
いろんな男女がいるなぁ。女では、ぼうっとしているように見えて、ちゃっかり狙った男のマンションに潜り込み、わざと時計を忘れて再度、会う約束を作る、緻密な計画派。
でも、印象に残るのは、そういった男女の駆け引きではなくて、かつて華やかな世界にいた人間が、売れなくなってどうしているかという事。
この連作集の中では、かつて一世を風靡したロックミュージシャンと、マスコミの寵児としてもてはやされたレストランオーナーシェフが出てくる。
そうだよね。チヤホヤされる時間はあまりにも短い。だって次から次に新しいスターが出てくるんだもの。賞味期限切れの人間はさっさと退場しなければ。
自分から退場しなければ、押し出されるだけだ。
元ロックミュージシャンは、デザイン事務所を手伝い、元レストランオーナーシェフは女子寮のまかないをするため、熱海に行く。
でも、この二人、ふてくされている訳じゃない。「自分で目の前の1個1個の仕事をやっつけてかなきゃならない」という事がよく分かっている。
第6話なんて、中島敦の「山月記」にも劣らないほど、教訓を含んだいい話だと思うよ。