ケイの読書日記

個人が書く書評

福永武彦「加田伶太郎全集」

2011-12-07 14:00:09 | Weblog
 加田伶太郎という名前は、福永武彦が探偵小説を書くときのペンネーム。
 うーん、気取ってるというか、自意識過剰というか、そこが気に入らないなぁ。(そういう作家は多いけど)
 坂口安吾だって、坂口安吾の名前で探偵小説書いてるし、だいたい別のペンネーム使うほどの出来だろうか?

 『温室事件』が一番本格っぽく、いい出来だと思う。主人を失って荒れ果てた庭の一画にあるガラス張りの温室で一人の男が倒れていた。
 背中にナイフが刺さった状態で死んでいた。刺されてから、しばらく息があったようだ。内側からすべて鍵が掛かった密室状態。
 やはり作者は、探偵小説といえば密室が王道、と思っていたようだ。

 その他の作品はイマイチ。ただ、これらが書かれたのは昭和30年代前半らしく、レトロ感たっぷりな所が良い。
 なんと娯楽がテレビではなくラジオなのだ。それに電話も普通の個人宅には無く、お金持ちの家とか役所とか商店とか。だから電話一本かけるのも手間が掛かる。
 そうだろうなぁ。昭和30年代の初めだったら。
 そういったレトロ感を味わいたい人には、お奨め。

 探偵小説と一緒にSF小説も収録されていたが、これは読んでいない。私はホントSF苦手です。読む気にならないなぁ。
 昔、アイザック・アシモフの数編を読んだきり。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする