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ケイの読書日記

個人が書く書評

皆川博子「壁  旅芝居殺人事件」

2011-12-12 14:22:30 | Weblog
 芸達者な皆川博子が、どんな本格推理小説を書くのか、すごく楽しみで読んだけど…期待を裏切らない秀作。
  
 昭和30~40年ごろの九州地方での話だろうか?
 旅役者一座が、桔梗座という芝居小屋でけれんの芝居をかけている。そのクライマックスで座長である花形役者が綱から落ちた。大騒ぎの中、二番手の役者が煙のように消えてしまう。
 それからの一座に次々と起こる、殺人、自殺、失踪…。とうとう一座は解散。座員はバラバラになり座長は行方不明に。

 それから15年。桔梗座は時代の波に逆らえず、とうとう取り壊され、駐車場になる事になる。
 名残を惜しんで、あちこちから旅役者が最終公演を飾ろうと駆けつける。その中に見覚えがある不審な男が一人。彼が来てから古い使用人に動揺がおきて…。


 横溝正史の作品にも旅役者一座は時々出てくる。戦中・戦後の娯楽のない時代、大変な人気だったんだろう。
 豪華絢爛でありながら、うらぶれた侘しさ・みじめさが横溝作品によく似合った。

 この作品は、芝居用語(歌舞伎用語)、劇場用語、和装用語がどっさり出てきて、若い人には読みにくいと思う。昭和33年生まれの私でも、分からない言葉がいっぱい。
 歌舞伎のキメ台詞や割り台詞も、ふんだんに出てくるし。

 だから、私よりもかなり年配の人で、若い頃、近所に旅芝居一座がやって来て、せっせと通ったという思い出がある人なら、すごく楽しめるんじゃないかな?
 私では読み取る能力に欠けるね。
 それでも、十分に面白いです。
コメント
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