ケイの読書日記

個人が書く書評

小野不由美「鬼談百景」

2014-06-14 17:56:50 | Weblog
 装丁が不気味だったので、ためらいながらも、内心期待して借りたのだが…正直ハズレでした。

 小野不由美のところにきた、読者が体験した99の幽霊話を、淡々と紹介したもの。小野不由美の脚色がなされていないので、サッパリ面白くない。それでも、読み進めていけば、すごーーーく怖い話が載っているかもしれないと期待して読んだが、怖いと思ったのは一つか二つだね。

 だいたい、こういう話って、自分の体験談を送ってくる人は少ない。ほとんどが「私の友人のAさんが…」「私の従兄弟のB君が…」「中学の先輩が語った所によると…」など、伝聞なのだ。
 学校の怪談も多いね。でも「中学生が飛び降り自殺したその窓辺に、夕暮れになると、ぼぉっと白い影が現れ…」なんて話よりも、自殺しなければならなかった、その原因の方が怖いよ。すざましいイジメにあっていた、とか、飛び降りろと強要された、とか。


 インパクトがある幽霊よりも、なにげない日常の中の怪奇の方が、ずっと怖い。
 例えば、洗濯していたら、急に金縛りになってしまい、目だけを動かして隣を見ると、旧日本兵が3人立ってこちらを見ていた…という話なんか、怖いというより滑稽だよね。アンタ、どうして旧日本兵って分かるんだよ。旧ミャンマー兵かもしれないだろうが!!!

 それより、こっちの話の方が断然怖い。
 キチンと閉めたはずなのに、両開きのクローゼット扉が、いつもほんの少し開いている。気になるので、両方の取っ手をリボンできつく結んで、開かないようにした。
 ある日、姿見の前で、髪をドライヤーで乾かしていると、鏡にクローゼットが映っている。取っ手はリボンで結ばれているが、そのリボンの片方の先が、扉の間に挟まっているのが見えた。そると、挟まっているリボンが、するすると中に引きこまれ、リボンがほどけて…。

 もう、クローゼットに背など向けられないよ。怖くて。開ける時にもドキドキしちゃう。中に何かが潜んでいるような気がして…。
コメント
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