ケイの読書日記

個人が書く書評

内田百 「彼ハ猫デアル」

2014-07-21 13:57:48 | Weblog
 内田百(1889-1971、夏目漱石門下の小説家・随筆家)が飼っていた、ノラという子猫の事を書いた短編エッセイ。
 わずか12ページだが、これが結構、面白いのだ。猫の生態って、いつでもどこでも同じなんだなぁと感心する。

 百先生の庭に野良猫が住み着き、赤ちゃんを生んだ。その中の一匹が、えらく百先生夫婦を気に入りじゃれつくので、ご飯をあげるようになったのがきっかけ。
 親猫の方は「どうか何分共、よろしくお願ひ申します」という素振りをして、どこかへ行ってしまったらしい。
 ノラとは女っぽい名前だが、れっきとしたオス猫。



 それにしても、百先生夫婦のノラの可愛がり方といったら、本当に「猫っ可愛がり」!
 ノラが風邪をひいて食欲がなくなったら、「コンビーフとバタをこね廻したのに玉子を掛けてやって見ると少し食べた」と喜んでいる。こんな脂っこいものを体調の悪い子猫にやれば、もっと具合が悪くなりそうな気がするけど…。だいたい明治か大正の時代だよ。すごく高級品のはずだけど。

 ノラは、寒い日には、風呂場に入って風呂桶のふたの上に寝るようになる。これは、我が家のミィ太郎も同じで、床下暖房になっているから、気持ち良いんだろう。
 しかし、百先生のところは、その風呂桶のふたの上に、ノラ専用の座布団が置いてあるのだ! 過保護ですよ。百先生。


 また、百先生は、猫が寝てばかりいるのにも驚いている。これ、同感。 1日24時間のうち、22時間ぐらい寝てるんじゃないかな。
 外飼いの猫だったら、トカゲやバッタを捕まえようと草叢で遊ぶだろうし、避妊手術や去勢手術をしてない野良猫だったら、発情期に何日も寝ないで飛び回っているので、平時に寝てばかりでもいいだろうが、室内飼いの猫が、こう寝てばかりでは、メタボになるのも当然だよね。(もちろんノラは、昔のことだから、外に遊びに出かけるし、去勢してない)

 夏だったら、開いた窓からカナブンやバッタ、セミが飛び込んできて、それを大喜びで追いかけまわしているけど、冬は窓を閉め切っているので、日向ぼっこばかりしている。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする