ケイの読書日記

個人が書く書評

佐藤賢一「黒王妃」

2014-07-15 15:00:28 | Weblog
 黒王妃とは、カトリーヌ・ド・メディシスのこと。ほら、世界史の教科書に載っていたでしょう? 夫のフランス国王・アンリ2世よりも、よっぽど有名。アンリ2世の死後、喪が明けても黒衣をまとうようになる。
 なぜ、この人、こんなに有名なのかな? メディチ家自体がルネサンスの芸術家たちのパトロンとして有名なのだ。
 特にカトリーヌは、イタリアのメディチ家からフランス王家へ輿入れする時、当時最先端だったイタリアの文化を、フランスに伝えた。だって、当時(16世紀ごろ)フランス宮廷では、食事は手づかみで食べていた。ナイフやフォークを持ち込んで、テーブルマナーを教えたのが、カトリーナだったらしい。

 フランス宮廷と言えば、寵姫。(ルイ14世のポンパドール夫人が特に有名)もちろん、アンリ2世にもいた。王妃としては、本当に目障りだろうね。
 嫁いだ先に、えらくチヤホヤされ皆から一目置かれる存在の女がいる。自分は王妃だから、最高位の女性なのに、自分以上に敬意を払われる女がいる。あの女はいったり誰?
 愛人というと、ちょっと日陰者のイメージがあるが、フランス宮廷では、華やかさの中心なのだ。国王の寵愛が深ければ、王妃をも、はるかに凌ぐ権力を持つ。

 しかし、こういう人って、国王が死んでしまえば、その立場は難しい。財産や権力を没収されて、追放・幽閉なんてこともあったらしい。(黒王妃はそこまであくどい事はやってない)

 そういえば…、中国のいつの時代だったか、帝の死後、帝の愛人の手足を切り落とし、生きたまま大きな瓶に入れて眺めたっていう妃がいたような…。よくそこまで気持ち悪いことやるなぁ。逆の意味で、感心しちゃう。

 
 黒王妃は、夫が早く死んだので、まだ幼い新国王のかわりに、政治を執り行う。フランスは伝統的にカトリックの国だが、そのころプロテスタントの勢力が急拡大し、宗教戦争が勃発。大変だったようだ。
 国としての連帯よりも、宗派の連帯の方が強いので、簡単に外国に応援を要請する。現代のイラクやシリアの内戦のようだ。反米・反キリスト教で一致している時は団結するが、その脅威が薄れると、すぐに分裂する。
 シーア派でも、スンニ派でも、同じイスラム教徒なんでしょ?                                                                                                                                                                                   
コメント (4)
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