ケイの読書日記

個人が書く書評

秋吉理香子 「婚活中毒」 実業之日本社

2019-05-10 10:44:16 | 秋吉理香子
 「理想の男」「婚活マニュアル」「リケジョの婚活」「代理婚活」の4話が収められている。どの話も、最後にアッと驚くどんでん返しがあり面白い。(とはいっても、ミステリファンなら、予想できるどんでん返しばかりだけど)

 どの話も、容姿も性格もよく年収もまあまあな男女が登場し、どうしてこんな人が婚活しなくちゃならないの? と思ったりする。

 第2話「婚活マニュアル」では、素晴らしい美女とブス子のナースコンビが登場し、男たちは美女に群がる。でも本当かね? そんな気立ての良い美女が婚活会場に現れたら、サクラだと疑わない? そんな無垢な男ばかりなんだろうか?(この小説内では、サクラではなかったが) どちらかと言えば、非モテの男性なら、最初から美女は敬遠するような気がするが…。だいたい、美女のナースときたら、私なら『医者の愛人』と条件反射的に思っちゃうね。

 第4話の「代理婚活」には考えさせらせた。忙しい娘や息子に代わって、親が婚活する。最近、流行っているらしい。親の間で話が進んだら、それから娘や息子が親同伴で見合いする。もちろん当人同士が「無理!」って言うなら、それで終了。でも、当人たちが気に入り、成婚することもあるらしい。

 益男と郁子のひとり息子・孝一は35歳だが、全く女っけなし。あせった両親は、代理婚活パーティに申し込む。そこでプロフィールを見て、良いなと思った女性は(女性本人はもちろん来ていない)24歳のピアノ講師。理想のお嫁さんタイプの人。彼女のご両親は会場に来ていて、とても裕福な家らしい。親同士の話はとんとん拍子に進み、両家が画廊レストランで昼食会を開く。
 驚いたことに孝一は乗り気でないのに、相手方の女性の方からどんどんアプローチが来て…。

 もちろん、この話も秋吉理香子だから、すんなり終わらない。定年すぎた益男が、あろうことか相手方の母親に淡い恋心を抱く事から、ストーカー化するんじゃないかと心配したが、そういう展開ではなかった。もっとしたたか。


 いろいろ考えるに、知人・友人の紹介で出会うのが一番安全だよね。それだと、相手が既婚者・サクラ・詐欺師というケースがうんと少なくなる。
 とにかく高望みしない。「話が面白い」人がポイント高いのは理解できるが、そういう人は、キャバ嬢を楽しませようと面白い話ができるのであって、あなたと特別話が合う訳じゃない。逆に「話が盛り上がらない人」は人気ないけど、いいじゃん、結婚してから盛り上がる話することって、あまりないよ。
コメント
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