ケイの読書日記

個人が書く書評

山田五郎 「へんな西洋絵画」 講談社

2019-05-22 16:31:38 | その他
 普通このタイトルだったら手に取らないが、借りたのはカバー絵のせい。
 アンリ・ルソー≪人形を持つ少女≫ すざましい破壊力です。赤いワンピースを着て、右手に人形、左手にお花を持っている女の子の絵だと思われるが…。服装から考えると、10歳未満じゃないかな? しかし、どう見ても、髭剃りのあとが青々とした中年男性の顔なんです。ひょっとしたら、中年男が女装してるのかな? ロリコン趣味の人が、趣味が高じて、洗濯干し場から盗んできた女の子の赤い服に、むりやり自分の身体を押し込んで座ってるのかな? と真剣に考えてしまう。
 でも、この絵の題が≪人形を持つ少女≫なんだから、やっぱりモデルは女の子か。
 しかしね、この絵を「お宅のお嬢さんをモデルに描きました」なんて渡したら、親に殴られると思う。

 アンリ・ルソーを見出したのはピカソらしいが、絵がうますぎる人は、こういった素人画家の素朴さに感動するらしい。ピカソが素晴らしいと言わなければ、この絵はオランジュリー美術館に飾られておらず、焚き物として燃やされていただろう。


 この本の中には、いろんな画家のヘンな西洋画が載ってるけど、やはりアンリ・ルソーは突出している。ルソーの作品は他にも≪岩の上の少年≫ ≪赤ん坊のお祝い≫ ≪ジェニエ爺さんの馬車≫ ≪田舎の結婚式≫ ≪マダムMの肖像≫ などなと人物画が多いが、決してモデルには喜ばれていないね。断定できる。でも≪マダムMの肖像≫だけは、バランス悪いけど、シックな黒のドレスで、素敵な女主人に描けている。
 ≪餓えたライオン≫は、場所はどう見てもサバンナや砂漠ではないし、ライオンに襲われる動物もカバ?イノシシ?何だか分からない。つまりメチャクチャなんだけど、植物や樹木の描き方が装飾的で、色もキレイなので、(アンリ・ルソーにしては)素敵な絵だと思う。

 そうそう、へんじゃない絵画も載っている。ギュスターヴ・クールベ≪絶望する男≫(自画像) ラテン系の二枚目で、自画像を観るだけでクラクラっときます。本物に出会ったなら、たぶん卒倒するでしょう。1877年に死んでるけど。お母さんも妹さんも美人で有名だったらしい。そうでしょう、そうでしょう。
 不細工でも画家っていうだけでモテるけど、こんなにイケメンだったら、どうなるんでしょう? そういえばピカソも若い頃は結構ハンサムだったね。
 モジィリアニって超美形と聞いたことあるけど、写真は残ってないのかな?
コメント
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