ケイの読書日記

個人が書く書評

柳田国男「遠野物語」

2011-10-06 13:25:54 | Weblog
 明治の末頃、民俗学者・柳田国男は、岩手県遠野の青年の訪問を受け、彼の故郷の山神山人伝説を筆記し始める。
 この有名な『遠野物語』を私はずーっと読みたいと思っていたが、なかなかその機会がなかった。
 でも、2ヶ月ほど前、マンガチックなカバーが付いた、この本に出会って手に取る。

 日本という国は平地が少なく、ほとんどが山間地だから、こういった山男・天狗・河童の伝説がいたるところにあったんだろうね。今はもう忘れられているが…。


 しっかし、これらを山の神というべきか…はっきり言って、日本の神様って人間に利益をもたらさず、祟るだけ。祟られるのが怖いから、お供えしたり祀ったり…まるでヤクザのみかじめ料みたい。
 これが多神教の世界なんだろうか?

 自分たちの能力を超えた力を持つ存在を、とりあえず神様にしておこう、という事なんだろう。

 メルヘンチックな話もある。よく知られているのがザシキワラシ(座敷童)。それにマヨイガ(迷い家)
 人が山道に迷い、マヨイガに行き当たる。素晴らしい屋敷で、庭には花が咲き乱れ、牛小屋や馬小屋にはたくさん牛馬がつながれている。
 玄関より上がれば、多くの膳やお椀が用意されていて、火鉢には火がおこって鉄瓶には湯がわいている。しかし、一向に人はいない。
 山男の家かと、怖ろしくなって逃げ出す。
 後で、村の年寄りに聞くと、それはマヨイガと言って、そのマヨイガから膳やお椀を持ち出すと長者になるという。


 そういえば…亜愛一郎の推理小説の中に、このマヨイガを題材にした作品があったなぁ。

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