ケイの読書日記

個人が書く書評

ウォルター・サタスウェイト「リジーが斧をふりおろす」

2011-10-11 14:32:07 | Weblog
 リジー・ボーデンは実在の人物。
 1892年、マサチューセッツの名士の娘・リジーは、父と継母を斧で斬殺したとして逮捕された。しかし、彼女は裁判で無実を主張。認められて釈放される。しかし世間はリジーがやったと囃し立てる。

 この作品は、リジーのその後を書いているフィクション。

 事件が迷宮入りしてから、ほぼ30年。海辺に避暑に来ていた少女アマンダは自分の隣の家で暮らすのが、あの悪名高いリジー・ボーデンであると知り、驚く。
 しかしリジーはとても好感が持てる年配の女性で、2人はすぐ仲良くなる。
 そんなある日、昼寝から目覚めたアマンダは、大嫌いな継母が斧で滅多切りされているのを発見!驚いてリジーに助けを求める。

 警察署長は、リジーが再び斧で人を殺したと思い込んでいて役に立たないので、リジーは自分で探偵を雇って情報を集め、真犯人を絞り込んでいく。ミス・マープルみたいに。

 ふーん、悪名高いリジーが名探偵役か…。こういった設定もあったんだ。


 継母殺しは誰か?一応、推理仕立てにはなっているが、さほど興味を引かない。
 それよりも、無罪となったが本当はリジーが殺しているに違いないと思い込んでいる群集に、リジーが罵倒される場面や、黒人がいかに不当な扱いを受けているかや、この時代の禁酒法がいかに馬鹿げた法律であったか、を書くことに作者の情熱が向けられているような気がする。
 読み終えて、やや散漫な印象を受ける。

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