訳者によると、この「白痴」は世界文学史上有数の恋愛小説らしいが、これを恋愛小説というのかなぁ。今の感覚で言うと恋愛というより執着。「ストーカー小説」だよ。
ロゴージンのナスターシャに対する執着がすざましく、ナスターシャはロゴージンと結婚の約束をするが、直前になると逃げだしてしまう。そんな事を何回も繰り返す。しかし、じゃあ彼女はどうすれば幸せになれる?
聖なる愚者ムイシキン公爵を愛しているのは確かだが、彼のもとに数週間いても、結局彼のもとを去る。アグラーヤという女性にムイシキン公爵と結婚するのはあなただという手紙を、何通も送り付ける。
ナスターシャは①発狂する ②自殺する ③尼寺に入る の3つぐらいしか選択肢が無いと思う。
あまりにごちゃごちゃドロドロの愛憎劇なので、ちょっとウンザリして読書にも飽きてきたが、この第3巻の終わりの方に、興味深い事件が発生!! がぜん読む気が出てきた。
レーベジェフという、こすっからい小金持ちのフロックコートのポケットから400ルーブルが消えた。容疑者は2人。1人はさすらいの居候。もう1人は、女と酒とギャンブルにだらしない退役将軍。最初は、さすらいの居候の方の容疑が濃かったが、だんだんもう1人の容疑者が疑わしくなり…。
この事件の犯人は第4巻ではっきりする。ああ、第4巻を読むのが楽しみだ。(でも第4巻はまだ出てない。9月の中旬らしい)でも、いくら酒と女とギャンブルで身を持ち崩したとはいえ元将軍。ちゃんとした家族もいる。この人が、いくら金に困っているからといえ、こんな事するだろうか?
ひょっとするとドストエフスキーは、犯人をハッキリさせないかもしれない。なんせ「カラマゾフの兄妹」でも、父親殺人の犯人をハッキリさせなかった。どう考えても長男だし、長男が捕まったが、本人は最後まで否認していたし。
この「白痴」は、第1巻の最初から、ほとんど会話(というか演説)で成り立っている。ロシア人の演説好きは恐ろしいほどで、この本の中に書かれてある演説を本当にしゃべるなら、何本もペットボトルがいるだろう。でも誰もお茶や水は飲んでない。お酒は飲んでるけど。これって国民性なのかな?
ソ連の政治指導者たちの演説も、5時間6時間なんて、当たり前だったようだ。これは共産国だから長いのかな? 死んじゃったけど、キューバのカストロ議長の演説はすごく長く7時間15分なんてのもあるそうだ。独裁者が演説してるのに、聴衆がトイレに行ける訳ないから、困っただろうね。
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