ケイの読書日記

個人が書く書評

湯浅誠 「反貧困  すべり台社会からの脱出」

2015-04-25 09:34:35 | Weblog
 ブックオフに行ったら、この「反貧困」という古本が100円で平積みになっていた。岩波新書が、ブックオフで平積みって…ある意味、すごい! すごく売れたんだね。5~6年ほど前、話題になったけど、私は読んでなかったので、買ってみる。


 リーマンショックで派遣切りにあい、失業した人が街にあふれ、社会問題化。派遣村を作って一時的にせよ、なんとかしようとした、中心人物の一人が湯浅さん。TV番組の討論会にはよく出演し、「反貧困」を訴えていたので、お顔と名前は知っていた。その主張も。

 本当に立派な主張だと思うよ。特に、働いているのに生活が成り立たないワーキングプア問題は、本当になんとかしなくちゃ!と強く思う。
 ただ、最低生活水準のラインの感覚が、だいぶ異なる。

 先日「年収150万円で、親子3人が楽しく暮らす!」といったコミックエッセイを読んだが、本当に楽しそうだった。SF作家の父と、マンガ家の母、小学生の娘。健康だし、性格が前向きだから可能なんだろう。
 親子3人で、年収150万円だったら、完全に生活保護以下の所得水準だが、この家族に「生活保護をうけなさい」と勧めたら、かえって失礼ではないだろうか?
 本当に困っている人は受けるべきだが、「あんたらは貧困」「あんたたちは最低生活水準以下」と伝えるのが、はたしていい事か?
 それよりは、お金が無くても、さほど困らないスキルを身に着けた方が、将来、役に立つのでは?

 貧困家庭のお子さんたちが、高等教育を受けにくいのは事実。
 だからといって、塾に行かせてと、親にお金を渡すんじゃなく、低所得家庭向けの無料塾を開いた方が、効果が上がるんじゃないか? 食事やおやつも付けて。
 お金を親に渡すと、子どもの教育に使わず、自分のギャンブル代につかっちゃう親もいるから。
 塾の先生役は、福祉に関心のある大学生にやってもらう。


 湯浅さんの主張の最大のネックは、財源をどう確保するか、という事。
 収入の多い人に、今以上に税負担をしてもらう事になるが、その高額所得者が、海外に移住したら?

 共産党が「トヨタは2兆円も儲けがあるから、それを福祉に回せばいい」という意味の事を主張している。トヨタの社員や期間従業員、パートやアルバイトさんが「もっと待遇よくしろ!給料上げろ!」と要求するのは応援するが、なんで共産党が、2兆円の儲けの使い方に口出すの?
 ちゃんと、法人税、おさめてるのに。
 あ、私、まったくトヨタとは関係ない仕事してますので。

 税金って、みんなのお金。自分のお金ではない。だから、自分が福祉にお金をたくさん回したいと思っても、他の大勢の人が、そう思うとは限らない。

 だったら湯浅さん。ソフトバンクの孫社長とかユニクロの柳井社長のように、自分が大金持ちになって、自分の資産を福祉に回したら? 自分のお金なんだもの。誰からも文句言われないよ。冷やかしでなく、本心からそう思う。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (コウイチ)
2015-05-04 12:51:17
この手の社会福祉関係の議論になるとどうしても財源を始めとした現実性の段階で左派は苦しくなるんですよね。有権者の評価も民主党政権は失敗したという評価でまとまっていますし……。

そこに救世主のように現れたというか広まったのがリフレでそれをうまく取り込んだのはなんと安倍政権だったりするんですが、本当にこれで我々の生活は豊かになっているのかという問いにまだ答えは出せていないみたいですね。
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コウイチさんへ (kei)
2015-05-05 18:26:02
 コメントありがとうございます。こういったブログを書くと、反発は必至、と思います。
 でも、新聞や有識者と言われる人みたいに、「6人に1人が貧困ですよ。だから、どんどん福祉に頼りましょう」とは書きたくないです。

 生活費を低く抑えるスキルって、ありますよ。その技術が身についたら、その後の生活にすごくプラスになります。
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