ケイの読書日記

個人が書く書評

原田ひ香 「喫茶おじさん」 小学館

2024-04-05 15:28:02 | 原田ひ香
 うーーーん、原田ひ香さんらしからぬ、主人公の松尾純一郎この先大丈夫か!?と心配になる終わり方ですね。

 松尾は57歳。大手ゼネコンを早期退職して現在無職。実は、松尾は早期退職した時の割り増し退職金を元手に、喫茶店を始めたが失敗しているのだ。夫婦仲はこじれ、妻は大学生の娘が暮らすアパートへ移り住んで、現在は別居している。

 飲食店経営ってほんとうに難しいと思う。特にカフェなどで、成功している店なんて、ほんの一握り。あとは潰れるか趣味でやってるんだろう。だって私もお客として入店しモーニングセットを注文するが「よくこれで経営できてるな。オーナー店長、暇なときに何処かアルバイトに行ってるんじゃない?」って思うものね。仕入れや家賃や人件費、光熱費etc、これらを支払うため、どれだけの売り上げが必要なんだろうって他人のことながら心配になる。

 だから、家賃や人件費はできるだけ抑えなければ。松尾が喫茶店経営の夢が捨てきれず、再度トライするなら、自宅を手放さず、ちょっと手を入れて、自宅で喫茶店をやったら?そして一人で切り盛りする。
 平日の午前中、モーニングだけ。サラリーマンとか若い人はターゲットにせず、近所の高齢者に来てもらう。高齢者はムダに早起きだから、6時から11時まで。単身高齢者は朝ごはん作りたくないから、来るんじゃない?そして土日は、時給が高いバイトに行く。

 それなのに、親から受け継いだ自宅を売って、離婚した元妻と折半し、松尾は池袋のボロ店舗を6万円で借りることにする。そして、日中はこだわりコーヒーを出し、夜はそのボロ店舗のテーブルや椅子を片づけ、布団を敷いて寝る。大丈夫か、松尾! 身体を壊したら元も子もないぞ!

 やっぱり、こんな事してたら病気になるよ。思い切って移住者を募集している地方に行ったら? 家賃1万円くらいで、広い庭のある一軒家が借りられるって言うじゃない?仕事だって高給正社員の職はないだろうが、期間限定のバイトならあるよ。夏限定のキャンプ場の管理人とか、農繁期の時の農家の手伝いとか。
 そして時間のある時に、自宅の庭で、同じ移住者たちにコーヒーをふるまうの。コーヒー好きな人は絶対いるよ。
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