ケイの読書日記

個人が書く書評

角田光代 「世界は終わりそうにない」   中央公論新社

2017-11-05 14:52:04 | 角田光代
 角田光代のエッセイは好きだが、このエッセイ集は…どうもですねえぇ。たぶんこれは、依頼主の注文や制約が多いからだと思う。オレンジペーシなどに連載されているエッセイは、生き生きしているものね。

 その中で、三浦しをんとの対談『書評の愉しみ」はすごく面白かった。他にもよしもとばななとの対談も載っているが、どうも型にはまっているというか…三浦しおんとの対談の方が、うんと自由。三浦しをんもかなりの読書家らしい。『三四郎はそれから門を出た』という書評集を出版したのを宣伝するため、角田光代X三浦しをんの対談集が組まれたみたい。

 二人の対談は話があちこち飛ぶけど、これがまた本当に面白いんだ!!!
 面白い本より面白くない本の話をする方が好き、というのは二人とも共通している。たしかにそれは理解できる。素晴らしい作品というのは「本当に素晴らしかった」で終わり、それ以上何を書けば良いんだろうと思う。ダメな作品はダメ出しした時の自分の興奮具合を誰かに伝えたくなると、角田さんなど言っている。
 具体的には三浦しをんさんは『ダヴィンチコード』を「なんじゃこれ!」って思っているし、角田さんは『海辺のカフカ』を読んで、本当に分からない、どうしよう!!書評が書けない!と途方に暮れていたとか。
 良かった! 角田さんみたいな優れた読者家が分からないと白旗上げてくれて。そうやってホッとしている読者っていっぱいいると思うよ。

 今年もハルキストの皆さんは、神戸の有名なカフェに集まったんだろうね。村上春樹って、そんなに皆読んでるの?私はエッセイと短編を少々、それから翻訳ものを少し読んだことがあるが、長編は未読。どうしてあんなに売れるんだろうか?皆、読み終えてる?
 村上春樹の本を抱えていると、純文学的な人に見られるからなのかな?いや、失礼。

 また、角田さん、三浦しをんさん、2人とも、長い書評を書く時、エッセイのように自分の思い出から書き始め、後半で本の内容につなげることが多く、三浦さんはそれをダメとハッキリ書いているけど、ダメじゃないと思うけど。私は、そっちの方が好きだなぁ。
 書評専門の人は、最初から最後まで、本の内容について書く人が多いが、それってツマラナイ。
 だから私は、話題の新刊といったタイトルより、誰がその書評を書いているかの方が、興味ある。読む気をそそられる。
 
「自分語り→書評」のパターンは群ようこに多い。だから群さんのブックレビューはすごく面白い。岸本葉子さんなど、根が真面目で横道にそれてはいけないと思うんだろうなぁ。書評に自分語りの部分がほとんどなくて、読んでるうちに飽きてくる。

 でも、依頼主としては、その本を紹介してほしくて書評を依頼するんだろうから、岸本さんのような書評が誠実なんだろうね。

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