ケイの読書日記

個人が書く書評

東野圭吾「聖女の救済」

2014-02-19 10:36:30 | Weblog
 皆さん、驚かれるかもしれないが、私にとって、初ガリレオ・初湯川。TVドラマや映画のガリレオは全部見てるので、原作を読むと、かえってイメージが壊れるかもしれないと、いままで敬遠していたのだ。

 で、読んでびっくり! 女性刑事の内海薫って、原作にも出てくるんだね。以前、原作には出てこないが、ドラマ視聴者が感情移入しやすいように、脚本家が女性刑事を設定したと聞いていたので。
 それに、内海刑事と湯川の間の、微妙な心の揺れ(揺れてるのは内海の方だけ)も、原作小説には全くない。あくまでも、捜査上での問題点の相談だけ。それとも、他の原作小説には、書かれているんだろうか?
 うーん、これでは、せっかく女性を登場させた意味がないような…。


 ストーリーはこうだ。
 IT会社社長が、自宅で毒殺された。毒物混入方法は不明。男から一方的に離婚を迫られていた妻には、鉄壁のアリバイがある。
 北海道にいた妻が、どうやって男に毒を飲ませるかが、最大の謎。  トリックは秀逸。
 この犯罪の背景には、一人の男を巡る、二人の女の争いがあるのだが、こういったシチュエーションって、東野作品には本当に多い。自身、そういった経験をしたことあるのかな? 東野圭吾はカッコいいから、不思議はないけど。
 表面的には仲良くしていて、裏では、憎み合っている女たちの姿が、よく書けている。


 とても面白い作品だったが、ちょっと物足りないような気が…。なぜかしらと考えてみたら、そうだ!! 万年助手の栗林さんが登場しないのだ。作品の面白さという点では、内海刑事より、栗林さんの影響力の方が大きいよ。
 栗林さんがいない『ガリレオ』は、ねずみ男のいない『ゲゲゲの鬼太郎』みたいだ。芹沢所長がいない『鍵がかかった部屋』とも言える。さみしいよぉぉぉ。

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4 コメント

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Unknown (たか@ヒゲ眼鏡)
2014-02-20 01:34:57
読んでないしドラマも見てないんですが(^^;、確か内海薫って、ドラマ発のキャラを東野が自分の作品に逆輸入登場させた、と聞いた様な?
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たかさんへ (kei)
2014-02-20 11:51:04
 コメント、ありがとうございます。

 そうですか。やっぱりね。ドラマ発のキャラを原作に逆輸入…。ふーん。
 確かに、女性刑事がいないと、男ばっかで女性読者がついてこないかもしれない。

 そうそう、湯川ってアルマーニのスーツ着てるんですよ。これも驚いたね。服装なんか、興味ないのかと思ってた。意外とオシャレさんなんだ。
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お邪魔虫です・・。 (サナダ)
2014-02-25 21:22:45
お久し振りです。
この作品が初ガリレオだったんですね。
是非短編集も読んでみて下さい。理系過ぎて私は理解できませんでした・・。

内海刑事は、「女刑事を出したい」というドラマサイドの要望を受けてケイゴリンが先に原作で登場させたようですよ。
ドラマ初はドラマ初ですが、キャラクター等はケイゴリンが作ったんじゃないのかな。わかりませんが。

ドラマの栗林さんは良かったですよね~!
岸谷刑事(吉高由里子)もオリジナルですが、同名の刑事♂がこの作品にも出ていたような・・。きしやん。
湯川先生のアルマーニスーツは、完璧ドラマの影響ですよね。とても佐野史郎がモデルとは思えませんもん。
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サナダさんへ (kei)
2014-02-27 09:32:07
 コメントありがとうございます。

 私はまだ、一つの作品しか読んでませんが、内海刑事と湯川の間柄って、こんなに淡々としてるんですか?
 それとも、他の作品では違うのかな?

 他の作品も読むつもりですが、さすがに、初期の短編は難しいでしょうね。
 「容疑者Xの献身」くらいが、いいかなぁ。
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