ケイの読書日記

個人が書く書評

トルーマン・カポーティ著 村上春樹訳「ティファニーで朝食を」

2013-05-06 13:25:00 | Weblog
 映画「ティファニーで朝食を」は、40年ほど前、学校の体育館で観たことがある。その時点でも、オードリー・ヘップバーン主演の不朽の名作、というふれこみだった。
 映画がそれほど好きでない私は、あまり覚えていない。

 ホリーという高級娼婦のような生活をしている駆け出しの女優が、作家志望の貧乏青年と出会い、恋に落ちるという話だったと思う。
 ホリーが、高級宝石店ティファニーのショーウインドウを眺めながら、フランスパンをかじっている姿が、印象的だった。あまり覚えていないとはいっても、オードリー・ヘップバーンは本当に美しかったよ。

 ただ、今日読んだ原作とは、かなり違っているね。原作では、ホリーの恋人は次々と変わり、亭主だと名乗る男や、ホリーが結婚しようとして子どもを身ごもった相手はいるが、この作家志望の青年とは、ついに恋仲になることはなかった。
 青年の、一方的な淡い片思いとして書かれている。
 だいたいホリーには、貧乏人を相手にしようという気などない。
 自分の男を惹きつける魅力を才能だと言い切って、逃亡先でも、その才能を使おうとしている。
 そこらへんが、あっぱれ!!

 ところで、原作を読んで驚いたことがある。それは、この作品は第2次世界大戦中の1942~1943年のニューヨークを舞台にしているという事。
 でも、そんな軍事色は出てこないね。砂糖やバターやピーナッツバターが手に入りにくくなったと、セリフの中にあるくらいかな。
 豊か。日本国内では、爆弾が降っていたというのに。ああ、こんな国と戦争やったって勝てる訳がなかったのだ。

 それにもう一つ。ホリーたちが住んでいるアパートにユニオシっていう日本人or日系人が住んでいたんだが、どうして? 全部、強制収容所に送られたんじゃないの?もちろん、周りの住人は好意的ではない。ジャップと言われている。ジャップって蔑称だもの。

 そうそう、ホリーの飼い猫には名前が無いのだ。

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