ケイの読書日記

個人が書く書評

トルーマン・カポーティ著 村上春樹訳「クリスマスの思い出」

2013-05-11 14:27:10 | Weblog
 先回読んだ「ティファニーで朝食を」は中編なので、他に3編の短編が収録されていた。その3つ目の作品「クリスマスの思い出」を読んで、私は驚いた! まるで、思いもがけない場所で、古い友人に出会ったみたいに。

 すごーく前に、山岸涼子のマンガで読んだ事があるお話だったのだ。まさかトルーマン・カポーティ原作の話だったとは。
 ほんわかした心温まる、でも少し切ない、印象的なマンガだったので、よく覚えている。


 7歳の男の子と、60歳を越した初老の女性の友情物語。二人は遠い親戚で、女性は若い頃、長患いをしたせいで独身。男の子は、親の事情でこの家に預けられている。
 この家には、他にも多くの親戚たちがいて、どちらかといえば、この二人は厄介者扱いされている。
 でも、二人は無二の親友で、そんな事ちっとも気にしないのだ。

 クリスマスが近づいてくると、彼らはフルーツケーキを30個も焼いて、あちこちに配る。毎年! ドライフルーツとナッツとウイスキーが入ったケーキの美味しそうなことと言ったら!! 私はムースタイプのケーキより、しっかり焼いたパウンドケーキorフルーツケーキが大好きなのだ!!

 マンガの方では、若かりし頃、彼女にプロポーズした紳士が登場し、二人にあれこれ親切にするが、原作の方には出てこない。やっぱり少女マンガだから、山岸涼子が恋愛の要素を加えたのだろう。

 小説を半分ほど読んでも、ちっともこの紳士が出てこないから、私はマンガとは違う話なんだろうか?と疑いだした。
 でも、終わりの方で、二人がクリスマスプレゼントを相手に贈りたいと思っているが、お金が無くて買えないので、お互いに凧を手作りしてプレゼントする、という場面が出てきて、私は山岸涼子がこの小説を原作にしていると確信した。
 あったのだ! そういう感動的な凧揚げ場面が!!

 こういう事があるから、読書はやめられない。
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