ケイの読書日記

個人が書く書評

ヒラリー・ウォー「この町の誰かが」を読んで

2005-11-06 11:22:06 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 この本も、このテーマサロンでどなたかが紹介していて、タイトルが少し変わっていたから覚えていた。ブックオフで偶然見つけて購入。

 アメリカのどこにでもありそうな平和で保守的で平凡な田舎町で17歳の少女が殺される。
 最初はヒッピー風のよそ者が犯人だと思われたが、その男が無関係だと分かると、この町の素顔が少しずつあらわになる。
 警察署長は言う「あのよそ者がやったのではないとするとアンダース家の娘はこの町の誰かにレイプされて殺された、ということになる」


   そう、この町の誰かに


 町のほとんどが顔なじみ。町の主だった人はみな共和党員。よそ者がウロウロしようものなら、すぐ警察に通報されパトカーが来て、よそ者を町外れまで連れて行きおっぱらう。
 この小説は1950年代後半の作品だと思うけど、今でもアメリカの保守的な田舎町では、さほど雰囲気は変わらないんじゃないかな。

 私たち外国人はアメリカというとすぐニューヨークやロサンゼルスを思い出すけど、そういった大都市はごく一部で、大部分はこういったよそ者を嫌う閉鎖的な田舎町なんだろう。そして、そういう所がブッシュ大統領の支持基盤なんだろう。

 怖いですねえ。よそ者はぼんやりしているとレイプ犯人にされ怒り狂った暴徒に公園の木から吊るされてしまうよ。
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三浦展「下流社会ー新たな階層集団の出現」を読んで

2005-11-01 15:50:17 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 ミステリ大好きでも、そればかり読んでいるとさすがに少し違ったものが読みたくなってくる。
 この本は、新聞の広告欄に載っていてタイトルがショッキングなので覚えていました。

 内容もかなり刺激的。読んで怒り出す人もいるんじゃないだろうか。例えば「はじめに」にこんな事が書いてある。


 「下流」とは単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として、所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩きだらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。


 あーーん、怒らないで下さい。私が言った訳じゃない。三浦展というシンクタンクの所長さんが言ったんです。全編こんな調子です。

 読んでいるうちは腹が立つことも多かったが、読み終えてみると言いにくいことあをズバッと書くことも大切かも、と思う。(正しいか間違っているかは別にして。)

 ただこの三浦氏は某有名デパートのマーケティング部にも所属していたことがあり、それを知った私は、そのデパートには決して行くまいと決意しました。しょせんデパートの人間にとって、貧乏人はどうでもいいのです。
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