Yahooのトピックスに「米ホワイトハウス、サムスンの『自撮りマーケティング』に不快感」と言うAFPの記事を取り上げている。
AFP:米ホワイトハウス、サムスンの「自撮りマーケティング」に不快感
この記事で最初に目に付いたのが、「自撮りマーケティング」という言葉だった。
マーケティングという仕事を長い間してきたが、この様な「マーケティング」があるとは知らなかった。
記事を読めば読むほど「これって、マーケティングですか?」という疑問が湧いてくる。
単に、サムソンが製品を売ろうと、著名人を使いより著名で社会的影響力のある人と、一緒に撮った写真を使って、「サムソン社製は、こんな有名人も使っています」と、宣伝をした、と言うことであって、本来のマーケティングではない。
確かに「マーケティングの基本 4P」の中には、「promotion」は含まれているが、それでもこの様な「promotion」のあり方は、×だと思う。
と言うのも「promotion」をしていないからだ。
宣伝の戦略として、著名人を使い「私も使っています」という宣伝のやり方は、昔からある。
ただ、その時は商品やサービスそのものを明らかにし「私も使っています」と、起用された著名人に言わせている。
このように、製品名を伏せておいて宣伝をする、と言うのは「promotion」そのものの意味を理解していないと思うし、自力でキチンとした「promotion」ができない、と言うことを言っている様にも思えるのだ。
まして今回は、ホワイトハウスが不快感を示して当然だろう。
何故なら、オバマ大統領は「選手と一緒に写真を撮った」という認識だったと思うし、もしかしたら、その認識すら無かったかも知れない。
何故なら、「自撮り」をしている選手とオバマ大統領の顔の向きや目線が、全く合っていないからだ。
そう考えると、肖像権の問題などが次々に起きてくる。
少なくとも「promotion」であれば、その様な問題は最初から起きないし、起こさない様に手順を踏んでいる。
サムソン側としては、製品を売らんがための戦略だったのだろうが、むしろ「形振り構わない戦略」というのは、企業イメージを大きく傷付ける。
なにより、マーケティングに携わる人間として、この様な悪意的な宣伝を「マーケティング」などと言ってもらいたくは無い。