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「行きたい街」と「暮らしたい街」は、違う?!

2018-09-09 21:23:36 | ライフスタイル

一昨年に実施された「国内8都市の魅力度調査」。
今年の調査結果が発表された。
結果は、再び名古屋がぶっちぎりで最下位となった。

中日新聞:名古屋の魅力度、また最下位・・・

上位に入った札幌や京都は、確かに観光地としても人気のある都市だ。
横浜の場合、中華街や山下公園、レンガ倉庫など以前から観光地として人気のあった場所だけではなく、最近ではドラマの舞台などでもよく登場する。
人気ドラマの舞台となれば「聖地巡礼」のように、ドラマのファンがロケ場所を巡り歩く、という効果もあるだろう。
東京から近いということも、ロケ地として選ばれる理由だと思われるのだが、ロケーション場所に困らないという魅力があるということもあるだろう。

一方、名古屋はどうだろうか?
東京からロケ―ションを組むには場所が遠く、名古屋だからという場所も思い浮かばない。
ドラマなどで人気のあるロケ場所は、(名古屋以外の方からは意外に思われるかもしれないが)名古屋市役所愛知県庁舎だろう。
いずれも戦前の建物で、第二次世界大戦時に残った貴重な庁舎だ。
しかし、それ以外は名古屋でなくてはロケーションできない、というほどのモノが無いのでは?という気がしている。
確かに、江戸時代からの街並みが残る「四間道(「しけみち」と読む)」や、三種の神器の一つが収められている「熱田神宮」など、ロケ―ションに使えそうな場所はあるのだが、名古屋でなくてはダメというほどではないと思われる。
だからといって、東京の渋谷や青山のような、オシャレな情報発信力がある地区というのもあるとは思えない。

日本初となった「レゴランド」も、入場料の高さなどが響いて当初予定ほどの集客ができておらず、周辺の飲食店などは撤退している。
グルメという点でも、一時期ブームにはなった「ナゴヤめし」だが、「名古屋に来たから、食べてみよう」という感覚であって、「ナゴヤめしが食べたいから、名古屋に行く」という、観光の目的にはなっていないように思われる。
何よりアンケートで「行きたい街か?」と聞かれれば、「さほど行きたい、とは思えない」という、アンケートの回答が出やすい都市であることには、違い無いと思う。
何故なら「行く目的」の中に、「観光」や「遊び」といった要素が含まれにくいからだ。

しかし「住みやすいか?」と問われれば、都市規模に対して比較的家賃なども安く、食に関しても農水産物が近隣から直送され、東京や京都をはじめとする関西方面へのアクセスも便利だ。

言い換えれば「行ってみたい」という魅力には欠けるが、「生活はしやすい」というのが、名古屋という都市なのかもしれない。
そう考えれば、無理に「行ってみたい都市・名古屋」ではなく、「生活をしてみたい都市・名古屋」を目指した方が、良いのでは?という気がする。
そしてインバウンドを考えるのであれば、「名古屋は日本のゲートウェイ都市」というアプローチも、あるかもしれない。

「都市の魅力」というのは、様々な要素があるはずだ。
「行ってみたい都市」としての魅力が無くても、他の要素を見つけ出し、それを「都市の魅力」と考えたほうが、より現実的だと思う。