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HONDAの企業CM「ORIGAMI」に込められたモノとは

2018-09-28 16:57:39 | CMウォッチ

HONDAの70周年記念のCMがmyoutubeで公開されている。
youtube:HONDA“ORIGAMI"

動画では、本田宗一郎が補助エンジンを自転車に取り付けたところから始まる。
この「補助エンジンをつけた自転車」が、HONDAの始まりだったのだ。
実際、小学生の頃住んでいた浜松では、ご近所のお年寄りの中には、資金難に困る本田宗一郎にお金を貸した方も多く、お年寄りたちは「自転車にエンジンを付けて、ポンポンと走らせておった!」と、いう話を幾度か聞いたことがある。
このお年寄りたちは、バイクと言わず「ポンポン」と呼んでいたことも、懐かしい思い出である。

それから70年、HONDAは創業者である本田宗一郎の「夢」と共に、事業を発展させてきたように思う。
最初の二輪車から自動車とF1レース、そして(小型)ジェット飛行機だ。
そんな本田宗一郎の「夢」を、折り紙という手法で一コマ一コマ撮影したのが、今回のCMだ。
今時、CGを使えばもっと凝ったCMがつくれただろう。
にもかかわらず、あえて人がひとつづつ紙を折る「折り紙」を使い、一コマ一コマ撮影をするという手間暇かかるCMをつくったのは、何故だろう?
「夢」を持ち・描くことができるのは、人にしかできないコトだと、考えたからでは?という、気がしている。

このHONDA“ORIGAMI”のサイトには、HONDAの歴史を見ることができるコンテンツがある(Productの最初に紹介されるA型補助エンジンのプロダクト内)。
「補助エンジンを付けた自転車」というのは、今見るとやや衝撃的なものだ。
あくまでも自転車が主であり、それをサポートする為にエンジンがあるということだとしても、エンジンと自転車のペダルが共存している、というのは、今では考えられないように思う。
それが「ファミリーカーのトヨタ」、「技術の日産」という、1960年代の企業コピーでわかる「クルマ」対する考え方の違い、というものも感じる。
トヨタにしても日産にしても「クルマ」という枠の中で、企業の製品づくりを考えているのに対して、どこか人間臭さのようなものがHONDAには感じられるのだ。
それが「ASHIMO」という、人型ロボットを創り出したのでは?という、気すらしてくる。

人だからこそ見られる「夢」。
「夢をかなえる力」を持っているのも、また人なのだ。
なんとなくだが、そんなことを感じさせるHONDAの70周年CMという気がする。

余談だが、HONDAのヒストリーで紹介されている1988年F1レースの写真は、圧巻というかF1というモータースポーツの迫力のようなものを感じさせる。
と同時に、日本がバブルに踊らされようとしていた高揚感も感じられる1枚だ。