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「新潮45」の杉田水脈氏擁護の記事は、炎上商法だったのか?

2018-09-21 19:20:17 | 徒然

この夏、「LGBTと生産性」という内容で、世間から非難を浴びた(と思われる)自民党の杉田水脈氏の記事に対して、擁護の記事が「新潮45」に掲載されている。
元々杉田氏の記事は「新潮45」に掲載されていたものなので、杉田氏に対する批判に対する擁護記事が同じ「新潮45」に、掲載されるのは不思議なコトではない。
ただこの擁護記事を書かれた方の中のお一人・小川榮太郎氏の記事が、杉田氏以上の批判というよりも炎上状態になっているようだ。

実際の記事を読んではいないので、記事の内容について批判するのは止めたいと思うのだが、記事の中に「(LGBTの権利を保障するのであれば)痴漢にも触る権利を保証する必要がある」という趣旨のことが書いてあり、「犯罪を助長させる内容」と非難されても仕方ないだろう。
事実「痴漢」という行為は犯罪であり、杉田氏の記事の問題はLGBTの人権を蔑ろにしているのでは?という、まったく違う内容だからだ。

この「触る権利」という言葉が出てきたのは、「#me too」の動きが米国から世界へ拡がりを見せた時、フランスの大女優・カトリーヌドヌーブさんが「口説く権利がある」と言った発言に触発されたのでは?という、気がしている。
もちろんカトリーヌ・ドヌーブさんは「口説く権利がある=断る権利がある」という意味での発言をされていたのだと思うのだが、小川氏はご自分の考えの都合の良い解釈をされていたのだろう。

むしろ問題なのは、このような杉田氏の書いた内容から大きく外れ、LGBTという問題の本質を考えたとは思えない記事を掲載してしまった「新潮45」側にあるような気がしている。
様々な意見や考えが、自由に述べられる社会というのは、文化的にも経済的にも豊かな社会だと言われている。
だからこそ、一方的な記事だけではなく、反対の考えの記事も掲載する必要があると思う。
なぜなら、いくら雑誌不況などと言われている出版業界であっても、それなりの社会的影響力があるからだ。
残念ながら「新潮45」では、杉田氏に対する反論記事が掲載されていた、という記憶は無く、いきなり「擁護記事」が掲載されてしまったような気がしている。
それだけ杉田氏の記事が、「社会的に問題を提議した」ということであれば良いのだが、問題を提議したというよりも、記事の内容そのものが炎上しただけで終わってしまった、という感じがある。
それに対して、(私が知らないだけかもしれないが)杉田氏の反論が無いまま、今回の「擁護記事」は場外乱闘のような炎上記事になってしまった。

出版側として、このような批判的な内容で雑誌が話題になってしまう、というのは決して良いものではない。
一部の書店では「新潮社」の本を撤去する、というところも出てきているようだ。
Huffpost:新潮社の本、書棚から撤去する書店も。「新潮45」の寄稿に怒り
書籍を扱う書店にとって、「ことばの暴力」を感じさせ、自重できる判断力が新潮社には無いと感じたからだろう。
流石に、この事態になり新潮社側は社長コメントを発表したが、時すでに遅し・・・という感がぬぐえない。
毎日新聞: <新潮45>杉田氏擁護特集で社長コメント「常識を逸脱した」
「常識を逸脱した内容をチェックすることができなかった」ということを認めたに、他ならないからだ。

このような当たり前のチェックよりも掲載を優先させたことを考えれば、販売部数を伸ばしたかった炎上商法と、揶揄されても仕方ないのかもしれない。