日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「そこに行かないと買えない」という、特別感

2018-09-24 11:30:20 | ビジネス

昨日、2002年のFIFAW杯日韓大会で一緒にボランティアをした仲間と、持ち寄り同窓会をした。
私が参加したボランティア会場が、静岡だったので私以外のメンバーは静岡に住んでいる。
当然のことながら、ボランティア仲間と会うのは静岡県内ということになる。

持ち寄りなので、手作りのサラダなどの総菜やおやつだけではなく、ローカルな人気お菓子も登場する。
ローカルな人気お菓子といっても、特別なものではなく地元でとれた素材を使ったポテトチップスなどだ。
そしてその地元産材料を使ったお菓子は、とても美味しい。
ネット通販などで扱われているものもあるのだが、元々の生産量が限られている為、多くの場合販売期間そのものが限定的でその地域以外で買うということ自体、難しいものが多い。

何もこのようなことは、静岡に限ったことではない。
お盆などで帰省すると、地元では有名なお菓子であっても全国販売をしている、というケースは少ない。
むしろ、全国販売をしていない、というところが、魅力の一つとなっている場合も多いような気がしている。

ネット通販が一般的になるにつれ、日本全国買えないものが無いような気がしているが、案外「地域限定でしか買えない」というものは、多いのでは?という、気がしている。
ポテトチップスなどは、当たり前のように全国各地で買うことができる。
大手製菓メーカーであれば、「ご当地もの味」を買うことができる。
「ご当地味」商品は人気も高く、評判も良いだろう。
そのような馴染みのあるお菓子であっても、地元産原材料という商品になると、地元の製菓会社が手掛けることがほとんどだろう。
そのため、生産量も限られその地元以外では、なかなか手に入らないということになる。

同じ手に入りにくいと言っても、違う理由で手に入りにくいというものもある。
毎年この時期になると、実家の父が「二十世紀梨」を送ってくれる。
名古屋でも見かけない訳ではないのだが、近所のスーパーで見かけたとしても、1週間も販売をされない。

「二十世紀梨」のおいしさは、シャリシャリとした歯触りと、みずみずしさだ。
甘味という点では、最近人気の品種に比べおちる。
ただ「二十世紀梨」が好き、という方も案外多いので販売期間を短くして、販売を続けているのでは?という気がしている。
今回の持ち寄り会で「二十ッ世紀梨」を持参したところ、「好きなんだけど、見かけないから嬉しい」といわれ、なかなかの評判だったのだ。
「二十世紀梨」のように、新しい品種に押され生産地では流通しているのに、全国ではなかなか流通しにくいという場合もあるようだ。

SNSの一般化により、ローカルな人気商品の情報そのものは手に入れやすくなってきた。
だが「そこに行かなくては買えない」という特別感は、地域の活性化にとって重要なポイントだろう。
地域が限定されているローカルな商品だからこそ、販路を全国に広げるのではなく、地域内でも販売を限定にするなどして「そこに行かなくては買えない」という、特別感を維持するようなことが、これからは必要だと思うのだ。