日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

判断をするのは、客観性よりも主観? 

2018-09-10 11:21:18 | マーケティング

Yahoo!の「あなたのおすすめ記事」を見ていたら、気になる記事が二つあった。
一つは日経ウーマンの「子宮頸がんワクチン」、もう一つはHuffpostの「イソジン牛乳」という記事。

日経ウーマン:子宮頸がん ワクチンの副反応と罹患率どちらを取るか 接種しない場合のリスクと接種した場合のリスクを見極めよう
Huffpost:医師が提唱「イソジン牛乳」の怪 うがい薬入り牛乳でがんが消える?メールと口コミで拡散も

今や「日本人の二人に一人が、何等かのがんに罹患する時代」とは言え、今だに「がん」と聞くと悲観的に受け止める方は多いと思う。
漫画家のさくらももこさんが、10年という闘病の末乳がんで亡くなられたばかりだ。
その後、民間療法などに頼っていたなど、一部週刊誌などで報道されたが、死因が乳がんであった、ということには変わりない。
だからこそ、「自分ががんにならない為に!」という思いがあり、「がんで死にたくない」という気持ちになるのだと思う。
この二つの記事は「がん」という病気に対する、多くの生活者の受け止め方がよくあらわされているように思うのだ。

まず「イソジン牛乳」についてだが、冷静に客観的に考えるまでもなく、「トンデモナイ治療」だということが素人でもわかる。
しかし、このような「トンデモナイ治療」を藁をもすがる思いで、実行してしまう人がいる、
実行する人を非難する気はないが、「医師が提唱している」と言う言葉は、健康雑誌などで頻繁に見かける文句でもある。
逆に「医師が提唱している」と言う言葉によって、その情報に信憑性を持たせている。

もう一つの「子宮頸がんワクチン」については、副反応が問題となり、現在は積極的なワクチン接種は推奨されてはいない。
当たり前だが、「恐ろしい副反応」による後遺症という情報があれば、どうしてもネガティブな情報を優先に考えるのは仕方ないと思う。
ただ「子宮頸がん」についての知識が無いまま、恐怖心をあおるだけでは「子宮頸がん」の罹患リスクを減らすことはできないし、現実問題として、先進諸国の中で日本だけ「子宮頸がん」の罹患者と死亡者が増え続けている。しかも罹患年齢が30代~40代前半の女性が亡くなるがんといえる。
それだけではなく、場合によっては適切な治療を受けても、妊娠ができなくなる可能性もある(一時期、「子宮頸がんワクチン」の副反応により妊娠できなくなる、という根拠の無い噂があったが、ワクチン接種と妊娠は全く関係が無い)。

人は、自分にとって不利な情報をシャットアウトしてしまう、という傾向がある。
「子宮頸がんワクチン」は、「深刻な副反応」という情報。
「イソジン牛乳」は、「抗がん剤」などの「標準治療に対する限界や副作用の不安解消」だ。
「がん」という病気は「死ぬ病気」という社会認識が根強いので、このような話題が起きやすいと思っているが、もっと些細なことであっても私たちは案外「主観」でモノゴトを判断しているのでは?という、気がしている。