昨日、セブン&アイホールディングスが、自社の電子マネー「nanaco」のポイント付与率を現在の1%から、0.5%にする、と発表をした。
日経新聞:セブン&アイ、「ナナコ」ポイント半減0.5%に
このニュースを受け、Yahoo!などでは随分辛辣なコメントがいくつも書き込まれていた。
コメントのいくつかを見ると「ポイント付与率が良かったから使っていたのに、0.5%では使う気がしない」という内容のものが、圧倒的に多かった。
個人的には、「世間ではそれほど、ポイント還元率を気にしている生活者が多いのか?」と、やや驚いたのだが、名目上の景気の良さを実感できない生活者にとっては、ポイント付与率というのも「節約法」の一つということも感じたのだった。
今年の初めだったか?カルチュア・コンビニエンス・クラブが発行している「Tカード」が利用者の承諾なしで、捜査当局に個人情報や購入履歴を提供していた、と問題になった。
この問題の前後から、「Tカード」の加入事業者が相次いで撤退、というニュースもあった。
TECHWAVE:Tカード、個人情報や購入履歴等を捜査当局に無断提供か
個人情報保護について、デリケートになっている生活者が多い中、このような無神経な捜査当局への情報提供というのは、企業として考えられないものだと思う。
運営会社に対してメリットを感じられず、クレジット機能を持っている自社カードを発行していた三越百貨店などは、早々に取り扱いを止めてしまった、という気がしていたのだが、比較的長い間「Tポイント」を利用していたドトールなどの撤退を決めている。
セブン&アイホールディングスが「nanacoカード」のポイント付与率を半減したのには、理由がある。
新しい電子マネー「7Pay」に切り替えることで、利用者の利便性が上がり、セブン&アイホールディングス側としては顧客情報や購入履歴など「マーケティング」に役立つ情報を手に入れやすくなる、という考えがあったからだろう。
この「7Pay」やファミリーマートが導入予定をしている「ファミペイ」などは、確かにスマホによるQRコードによる決済方法なので、現金を持ち歩く必要はなく、便利な決済システムと言えるし、今政府が旗振りをしている「脱現金決済」という点でも時流に乗ったサービスだといえるのだが、Yahoo!コメントなどを見る限り、多くの生活者は「QRコード決済は便利だが、ポイント付与率は今まで通り」という感覚のほうが強いように感じている。
セブン&アイホールディングス側は、現在の「nanaco」利用者の全てではないが、8割程度はカードの切り替えをするだろう、と想定していたのではないだろうか?
ところが、生活者側はそう思っていない。
何より、「24時間営業」に対するセブン・イレブン側の態度に、多くの生活者は「ノー!!」と言っている。
このような時期に、生活者にとって利便性の高いサービスへの切り替えの為のポイント付与率半減、などと言っても生活者、特にnanacoカードは持っているが、ほとんど利用していないカード保有者にとって、「やはり、企業の都合しか考えていない」という印象を持ってしまっている。
当たり前のことだが、今の生活者がどれくらいのポイントカードを財布の中に持ち、どれほど利用しているのか?など、セブン&アイホールディングス側が把握していたとは思えず、その上での発表というのは「生活者を見ていない企業」と、自ら言ってしまっているような気がする。