日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

45歳定年制は、現実的か?

2021-09-11 19:12:26 | ビジネス

サントリーの新浪社長の「45歳定年制」発言が、問題となっている。
発言内容について、新浪社長が釈明をすることになってしまっている。
毎日新聞:サントリーHD新浪社長「45歳定年制を」SNSで波紋、釈明

新浪社長ご自身が、「社長」という仕事を渡り歩いてきたという人物ということは、ご存じの方も多いと思う。
企業に閉塞感が感じられるようになると、社風を一掃するために、外部から経営幹部を招き入れることが多い。
何も日本企業に限ったことではないのだが、新浪さんの様に「社長」として招き入れられ、実績はどうなの?という結果に終わる方も少なくないような印象を持っている。

「実績が残せない」最大の理由は、その企業の企業文化を十分理解せず、米国等の経営論で経営を推し進めようとするからでは?という、気がしている。
特にオーナー企業として大きく発展してきた企業で働く人たちにとって、「自分たちの企業文化を理解せず、上っ面のカタカナ言葉で経営論を言われても共感できない」という部分が大きいのでは?と考えている。
サントリー社内で、新浪さんの評判はどうなのか?は知らないが、余りにも社長が目立つ発言をする、というのは企業にとって得策ではないような気がする。

ただ、新浪さんの「45歳定年制」には賛成しかねるが、日本人のサラリーマンの問題をついているのでは?という、気もしている。
これまで日本の企業は「年功序列」で、よほどのことが無い限り「60歳(あるいは65歳)定年」まで、一つの企業で働き続けることができた。
新浪さんが社会人になった頃は、そんな時代だったはずだ。
日本の上場企業の多くは、「年功序列で定年まで勤めあげる」ということが、美談の様に言われてきたし、事実そうだったと思う。
ただ、「バブル経済の崩壊」は、それまでの「雇用形態」を見直す切っ掛けとなり、それまでの「日本型雇用」が崩れていったのも事実だろう。

あくまでも個人的な印象なのだが「日本のサラリーパーソンは、社会に出ると勉強をしなくなる」という、印象を持っている。
仕事で必要な資格は、企業からのススメもあり取得することには熱心だが、より幅広い知識や教養を身に着けようとすることが極端にないような気がするのだ。
一時期流行した「異業種勉強会」のような会も、その目的は「人脈づくり」であり、目的に合わない人とは話すこともなく、名刺交換だけをし、集まった名刺自慢で終わってしまっているのでは?という印象がある。

確かに日本の社会は、就職するまでに様々なハードルを飛び越えなくてはならない。
その多くは「受験」ということになるのだが、「受験勉強」はしていても、それが「教養」として身についていないし、社会人になったからこそ、出世に直結しないような勉強はしない、という傾向があるように思う。
日本の場合「就職」ではなく「就社」である、と考えると新たな知識を得るよりも、企業研修で言われたコトを踏襲するほうが、ラクで上司受けもよいはずだ。
そのため、仕事の本質を知り、新たな知識や思考を刺激するような勉強をする必要が、ないのだ。

このような意識変革を起す、という意味で「働き盛りの転職」はあっても良いのでは?という気がしている。
仕事以外のスキルアップをすることを含め、大学や大学院等での学び直しという機会があっても良いと思うし、異分野にチャレンジする機会をつくるという、「人としての成長機会」の時間をライフステージに合わせ、必要なのでは?ということなのだ。
これからの社会は、個人として行動できるような人材が、企業にも社会人個人にも求められ、その行動の為の「異分野を含めた勉強」が大切で、その切っ掛けとしての45歳定年という考えもあるかもしれない、ということなのだ。