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報復措置は、中国にとって吉となるか凶となるか

2021-09-27 19:43:57 | ビジネス

日経新聞に「中国の本音と建て前」を感じさせる、記事があった。
日経新聞:中国で深刻な電力不足 アップル、テスラ向け工場停止

中国で深刻な電力不足に陥っているとは、知らなかった。
まして世界的な企業の工場を停止させるほど、電力不足に陥っていたとは!という、印象の見出しだが、本当にそれほどひどい電力不足になっているのだろうか?と、疑問に感じられた方も多いのでは?

むしろ、中国が米国に対する嫌がらせ、だと考える方が自然なのではないだろうか?
というのも、先日中国は、TPPの加盟を表明した。
その直後、台湾もTPPの加盟を発表した。
ご存じのように、中国は台湾のTPP加盟を批難している。
理由は「台湾は中国の一部なのだから、単独でTPP加盟をすることは認められない」からだ。

しかしながら、米国は台湾のTPP加盟を歓迎する、と発表した。
その報復措置として、米国企業の中でも社会的影響力のあるアップルとテスラの2社の製造工場の停止を、発表したのではないだろうか?
もちろん、そのような本音を言ってしまえば、中国に対して国際社会が文句を言うだろう。
それが分かっているから、電力不足という、以前から言われていた社会的インフラの問題としたのだろう、と想像できる。

他にも中国が積極的に進めている軍備に対して、米国・豪州・インド等が懸念を表明している。
近いうちにこの3か国の他に、カナダや中国と国境でもめているベトナム等も加わるかもしれない。
軍備という点だけではなく、TPPのような経済圏を作ろうとしている中で、中国の存在は他の国々からは歓迎されない状況になるかもしれない。
そのような状況になった時、中国側は「世界の工場」として、国内にある海外企業の操業停止をさせてくる可能性もあるのでは?
相当悲観的な予測なので、このような状況になるとは限らないが、そのリスクは想定すべきかもしれない。

そのようなリスクを想定した時、米国企業は、中国以外の人件費の安いアジアの国への工場移転を、考えるかもしれないし、場合によっては米国内に新しい工場建設ということを考えるようになるかもしれない。
米国内で工場をつくるとすれば、トランプ氏の大票田であった「ラストベルト」と言われた、中西部だろう。
今でもこの地域は、経済的問題の中でも雇用という問題を抱えている。
安価の製品とはならないにしても、今や工業製品のほとんどは。人の手でつくられているわけではない。
オートメーション化された工場の中で、ロボットのオペレーションの為の雇用、ということになるはずだ。
生産拠点の一部を米国に移し、雇用を創り出すようになれば、バイデン政権にとってもプラス材料となるだろう。
ましてその地域が、共和党の大票田の地域だとすればどうだろう?

アップルやテスラにとって工場停止は、手痛いコトだと思う。
だが、見方を変えれば中国の報復措置のような今回の工場停止、という判断は良かったのだろうか?